山陽

MAKER'S TALK

episode 00. 革への思い

間嶋 正一
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革づくりに、ゴールはない。

間嶋 正一 Masakazu Mazima
営業部 本社営業課 主任

間嶋 正一

営業企画室、23年目。お客さんのところに行って営業をし、企画もして、お客様に提供していく仕事です。私は、入社当初は原皮を担当していました。その次は、クロム鞣しを施した最初の状態の革、ウエットブルーのセレクションを。10年ほど前から、営業になったんです。

私の仕事は、まずは、いかにお客さまの要望というかニーズに的確に応えられるか。どういうものを作りたいか、お客さんといろんな話をしてその情報を工場に持ち帰り、的確に伝える。現場のいろんな場所で様々な経験をしてきたことが、生きてくるということもありますし、現場のみんなとは、もともと一緒に汗水垂らして働いていた連中ばかりですのでそういう点で、コミュニケーションも取れていると思います。

もちろん、細やかな処方などの技術については経験があるスタッフがいます。彼らに、お客さまのご要望を的確に伝えることが、その仕事を上手く回していくために大切。伝える情報が間違っていると、できるものも場違いなものになってしまう。そういう点で大きな責任がありますが、一回でドンピシャ、ということばかりではありません。何度も、お客さまの納得がいくまで試作を繰り返して、形にしていくことが大事です。

最近のお客さまには、変化もあります。自分自身が、自分のブランドをつくる人も増えています。自分がいいと思うものを、素材からこだわって作りたいというご要望もあります。弊社には、国内でも有数のピット槽がありますが、ヌメの植物タンニンなめしは、そういったお客さまのためにも、と復活したものです。

大手メーカーさんも、変わりつつあると思います。具体的に、OEMではなくて自分のブランドを自分たちで作ろうという動きもあります。素材を大事にして作っていこうというお客さまが頼りにしてくださるのは嬉しいですね。それは、メーカーさまにとって勝負になるものを今後つくっていこうという取り組みですから。

革って、天然ものの難しさもありますが、そこが本当に魅力だと思っています。山陽の特徴である、キップを見ていただくと分かっていただけると思うのですが、革本来の、まだ仕上げもしていないクラストレザーは、とても綺麗なんですよ。

お客さまが山陽の革を使ってつくってくださったものを見て、自分でも欲しくなることもよくあります。靴でも、鞄でもそうなんですが、私たちがご提供している革が商品になったら、本当に全然変わりますね。メーカーのお客さまもプロフェッショナルに商品の作り込みをされていて、形になったときの感動があるんです。

間嶋 正一

新しいところでは、お得意さまにご紹介いただいた家具メーカーさまとのお取引がはじまり、ソファ用の試作を作っているのですが、それがうまくいけば、とても面白いですね。自分が関わったものを、自分で使う。家にちょっとずつそういうものが増えていくとやはり嬉しいです。

私自身、革は愛用しています。取引させてもらっているメーカーさまの靴や、鞄や名刺入れも。一番長いものは、やはり靴ですね。私が営業を始めたときに買ったものですから、もう10年ぐらい履き続けているものです。革は、手入れさえすれば本当に持つ。だからこそ、愛着が持てるものだと思います。

お客さまとの関係は、プライベートでもあります。商談中は、お客さまにとっての上司の方もいるのでかしこまっていますが(笑)晩に泊まったりしたら一緒に食事をしたり。そこで仕事の話はしないですが、僕が既婚者なので、どうしたら結婚できるかとか。そういうところで、お互いに信頼関係を育てていけているのかもしれません。

これから、ということで言えば、私はもっともっと、山陽の革を広げていきたいです。日本国内でも、まだ入り込めていないところはあると思いますし、海外にも市場が広がっています。たとえば、富裕層だけでなく多くの人が革靴を履くようになる国。その品質も、求められるようになってくるはずですから。

日本の革について思うのは、品質の良さ。やはり、真面目さじゃないかと思うんです。海外のタンナーさんから、注文したものと色が全く違うのを平気で送ってきた、というようなことを話で聞いたりしますが、私たちの感覚ではありえない。難しい条件でも、それをクリアする。そういう点でも、信用は大切だと思います。

革づくりって、ゴールがないような気がします。いいものができても、その先がある。もっともっと、いいものを求める。どこかで「これでいいよ」というものではなく、お客さまも、カイゼンを続けていくもの。

私たちは、規模が大きいタンナーだと見られていて「敷居が高い」と思われることも多いのですが、本当は、大小問わずどんなご相談にも乗らせていただきたいと思っています。たとえばレザーフェアには、個人でブランドを作るために革を一生懸命探している方がいらっしゃいますが、私たちは、実際に数量の少ないロットでも作って実現させています。ものづくりの時代が変わっていく中で、私たちの仕事もまた、変わると思います。