山陽

MAKER'S TALK

episode 00. 革への思い

塩田 和也
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生きているから、愛する。

塩田 和也 Kazuya Shiota
事業本部 商材担当本部長

塩田 和也

山陽で働きはじめて、26年になります。肩書きは事業本部となっていますが、うちの会社の場合は何でもやるスタンス。もともと技術畑で、生産管理をするようになり、商品開発をし、営業にも行くようになりました。技術者としては仕上げのセクションが専門で、今でも、現場で何かあったら電話がかかってきます。

現場仕事と同時に、たとえば革の技術講習に講師として出向いたり、ファション業界のお客さまが新しい企画をはじめるときに話を伺いに行ったり。展示会に向けて革づくりを行う場合は、一年前から取り組むこともあります。

また、このホームページでご紹介している、「Leather Project」は、革の新しい可能性を探り、それを発信するためにスタートした企画です。その第一弾となるのが「絹革(KINU-KAWA)」ですが、これからも、内外の方々と協力しながら、オープンイノベーションを実現させていきたいですね。

いま考えているのは、「天然もの」としての革の特性を魅力として生かしていく、ということ。お肉なら、霜降りの高価な部位がありますが、革にも、同じことが言えるんです。でもいま、つくり手も多様化してきています。全員が、均一の霜降りを食べたいわけではなく、本来動物にある皺だったり、色味のムラを天然革本来の「味わい」として生かしたいとお考えのつくり手も、増えてきていると思います。私たちは、国内有数のタンナーとして、そこに応え、新しいチョイスを生み出すことができるのではないかと思うんです。

革って、もともとは生きものですよね。傷やムラがあって当然なものですが、そこにデザインの考え方が入ることで価値が生まれるはずだと思います。そしてそれは、規模が大きく、職人が育っている山陽だからこそできる、フルラインナップの戦略になりえると思っています。

塩田 和也

自然であるということで言えば鞣しとしては「タンニン鞣し」があるのですが、山陽は、世界でも有数の規模のピッド槽を持つ企業。タンニンは一般に、硬く、しっかりとした鞣しが特徴ですが、私たちの技術であれば、それを柔らかでなめらかに、個性豊かなカラーリングで仕上げることもできる。たとえばオーガニックコットンのような「ナチュラル・レザー」を、山陽が特徴とする、高品質なキップでご提供することも可能です。そして、キップを天然タンニンのピット槽で鞣した革は、現在のところ日本にないものだと思います。

私がこの会社で仕事をしているのは、もともと動物が好きだったからなんです。大学受験の第一志望は、獣医学科。獣医学科には残念ながら縁がなかったですが、二年目に受験した畜産学科の受験面接で動物が好きだから学びたいと教授に話すと「畜産は、動物を増やして殺し、食べるんだよ?」と言われながらも、入学することができました(笑)革づくりは、その動物を「生かす」ということ。仕入れる原皮は生きもので、鞣しの工程を経ることによって、手触りが変わり、匂いが変わる。そうやってできてきた革の風合いが好きなんです。

革の価値を伝えるために、色んなことをやっていきたい。いま、会社は高齢の社員が多いですが、若い人が入ってきてくれて、楽しんで、安心して勤められる会社になるように、私としても力を尽くしていきたいと思います。自分たちがつくるものが、社会でどう愛されているか。それを伝え、誇りを持てるように共有していくことも大事です。

私たちがつくるのは、工芸品ではありません。新しい革を作るときは、ロットを作るということ。しっかりしたものづくりをして、社員、お客さま、使う人のみんなが利益になるものを生み出すことが、使命です。革を愛してくださるMAKER(つくり手)さんと、新しい価値をつくっていければと思っています。