革の世界
皮革におけるJIS規格 (3) ~クロムフリーレザーとは~
革の世界
山陽の読み物(note)をご覧頂きましてありがとうございます。
今回も引き続きJISをテーマに革・レザーの事を取り上げて行きたいと思います。
今回のテーマは、「クロムフリーレザー」です。
これまで革のなめし方法として最も多く使われているのがクロムなめしであるということは、何度かお話ししてきました。
クロムなめしは、クロム化合物を使っているのですが、現在もっとも安定して高品質なレザーを作ることができる方法であることは疑いようがありません。
ただクロム自身がいわゆる金属に分類されるもので、金属アレルギーをお持ちの方にとっては、気になるところだと思います。
そこで注目したいのが、クロムフリーレザー、非クロムレザーです。
JIS規格においては、以下のように規定されています。
【クロムフリーレザー、非クロムレザー】 JIS K6541:2024 3.2.3 クロムを含まないなめし剤によってなめされ、革(レザー)の中のクロム含有量が0.1%(革の総感想質量に対するクロムの質量の割合)以下の革(レザー) |
つまり、革の中に含まれるクロムの量が0.1%以下であるものということになります。
かなり厳格に決められていますね。
また、金属アレルギーを引き起こしやすい物質として、「ニッケル、コバルト、クロム」が挙げられますが、体質によってはそれら以外のアレルギーを持つ方がいらっしゃると思います。
革の規定ではクロムフリーレザー以外に「メタルフリーレザー」と言われる規定もあります。
【メタルフリーレザー】 JIS K6541:2024 3.2.4 金属を含まないなめし剤によってなめされ、革(レザー)中の全ての金属(クロム、アルミニウム、チタニウム、ジルコニウム、鉄など)の総含有量が0.1%(革の総乾燥重量に対する全金属の質量の割合)以下の革(レザー) |
このように皮革の世界でも、皆さまが安心して革製品を使っていただけるように細かな取り決めがなされています。
金属アレルギーを持たれている方におかれまして、「クロムフリーレザー」「メタルフリーレザー」を使った製品を選んでいただけますと幸いです。
植物タンニンなめし(ヌメ革)をお使い頂くことも良い方法だと思います。ただベージュ色が下地となることによる色合いの制限や他の革に比べて物性がそれほど強くないという点があり、場合によっては悩ましいところかも知れません。
これら以外にも、なめし剤としてクロムを使いながらも、革の風合いをよりタンニンなめしに近づける目的で、仕上げの段階でクロムの含有量を可能な限り取り除く「脱クロム処理」という取り組みも行っています。
また、日本皮革産業連合会の日本エコレザー認定を受けたエコレザーは、水につけて溶け出してくる総クロ
(詳しくは、日本エコレザー認定事業 https://ecoleather.jlia.or.jp/ecoleather/をご覧ください。)
山陽においても、クロムフリーレザー、メタルフリーレザーの生産はおよび脱クロム処理を行っています。
『革(レザー)という優れた素材を出来るだけ多くの方々に安心して使っていただく』ーー全てはこの目標の為に私たちは日々、新たな課題に挑戦しています。
本日はここまで。
また次回に。
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