山陽Letter
【山陽レザー】#006 アーマー(グローブひも用革) ~「切れない革」を目指して
革の世界
こんにちは。
山陽の読み物をご覧いただきありがとうございます。
今回は、革の基本の「キ」に立ち返って革の表にあたる面と裏にあたる面についておさらいしてみたいと思います。
これまでの山陽の読み物でも、「銀面」「床面」という言葉をしばしば使って来ました。
おそらくこのブログを見られている方も「銀面」はつるつるした表にあたる面で「床面」は毛羽立った裏にあたる面というイメージは持たれているかと思います。
ですが、それが動物の生体時のどちらの面だったかというと、誤解されている方もいらっしゃるようです。実際に私も革に興味を持ち始めた最初の頃は、もしかしたら床面の毛羽立ったものは動物の毛の名残なのか!?とも思っていました。
ここで整理してみましょう!
名称 | 表裏 | 生体時の面 |
---|---|---|
銀面 (吟面とも言われる) 英語:Grain |
表側 | 外側にあたり、もともと毛に覆われていた側 |
床面 (肉面とも言われる) 英語:Flesh Side |
裏側 | 内側にあたり、肉の部分と接する側 |
このようになります。
銀面は、生体時(原皮の状態)では毛に覆われている側なのですね。
そのため銀面を近づいて見ると毛があった名残として小さな凸凹が見えることがあります。(これが見えるのは、銀付き革のみです。ガラスレザーなどの顔料で仕上げた革や銀面をバフィングした革は見えません。)
つまり革を作る工程の中では、毛を除去する「脱毛」という工程があります。
「なめし」を行う前の準備工程で行われるのですが、石灰を使って毛を取り除くため「石灰漬け(せっかいづけ)」と呼ばれています。
石灰は炭酸カルシウム[CaCO3]を主成分とした鉱物「石灰岩」を粉砕したものです。その性質として「アルカリ性」を持つ物質なのですが、アルカリ性であることで、タンパク質を溶かす(構造をゆるんだり、分解されたりする)という効果があります。
その性質を活用し、タンパク質である「毛」を除去しているのです。
山陽では、下の写真にある巨大な「タイコ(またはドラム)」を使って、鞣しを行う前の原皮に脱毛処理を行っています。
少し専門的なお話になりましたが、銀面・床面、それから脱毛処理といった一連の流れを今一度整理していただけましたら幸いです。
本日はここまで。
また次回に。
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