革製品について
大切な革製品に、夏の終わりの休息を
革製品について
お盆が過ぎて、賑やかだったセミの声に代わって、ツクツクボウシの声が聞こえ始める頃。まだまだ日中は汗ばむ猛暑は続いていますが、朝晩のちょっとしたひと時に、ふと季節の変わり目が近づいてきている、夏ももうすぐ終わりだなと感じる瞬間が増えてきたのではないでしょうか。
この夏、あなたとたくさんの時間を共にしてくれた、革のバッグやお気に入りの革靴。夏の楽しい思い出と同時に、厳しい日差しや湿気を一身に受け止めて、少しお疲れかもしれません。
本格的な秋が来る前に、夏の間に頑張ってくれた革の相棒へ、「お疲れさま」の気持ちを込めて、やさしい休息の時間を贈りませんか?
革製品にとって、日本の夏はなかなかの試練の季節です。ジメジメした梅雨から続いた夏の高温多湿な空気は、革の大敵である「カビ」にとって最高の環境。さらに、バッグを握る手の汗や皮脂、革靴の中にこもった湿気など、目には見えないダメージが少しずつ蓄積されています。
そして、忘れてはならないのが「ゲリラ豪雨」。 私の地元・姫路でも、夏の終わりには突然空が暗くなり、激しい雨が降ることがあります。万が一、そんな突然の雨に降られてしまったら…?
でも、万が一濡れてしまっても、慌てないでください。正しい応急処置を知っていれば大丈夫です。
大切なのは、「すぐに、優しく、ゆっくりと」。
まずは慌てず、乾いたタオルで革の表面を優しく押さえるように水分を吸い取ります。ゴシゴシこするのは、革を傷つけてしまうので絶対にNGです。
そして、形を整えたら、風通しの良い日陰でゆっくりと自然乾燥させましょう。早く乾かしたいからといって、ドライヤーの熱風を当てたり、直射日光に当てたりするのは絶対にやめてください。急激な温度変化は、革が硬くなったり、ひび割れたり、変色してしまったりする原因になります。人間でいえば、真夏に熱々のサウナに無理やり入れられるようなもの。革にとっても、それは過酷すぎますよね。(革製品のメンテナンスについては、こちらもご覧ください)
普段は「革製品は使うことが一番のメンテナンス」とお話ししていますが、それはあくまで日々の適度な刺激の話。ひと夏を越した革は、人間と同じで少しお休みが必要です。
そこで提案したいのが、夏の終わりに設ける「革のための休息日」。 それはまるで、映画『かもめ食堂』の、丁寧にコーヒーを淹れる時間のように、心を整えるための、穏やかで大切な“余白の時間”です。
やり方はとても簡単!
①中身をすべて出して空っぽにしたら、②柔らかいブラシで表面のホコリを優しく払い落とします。③次に、乾いた布で全体をそっと拭き、④あとは風通しの良い場所でのんびりさせてあげるだけ。
夏の間に溜め込んだ湿気を、ゆっくりと外に逃がしてあげるイメージです。
「夏の終わりは、革製品はお休みだけ?」 いいえ、この時期だからこそ楽しめる、特別な革との付き合い方もあります。
それは、これから各地で催される晩夏の夏祭りや、少し早い秋祭りの装いに、あえて革製品を合わせるコーディネート。浴衣や少し軽やかな秋の装いに、小ぶりなレザーポシェットや上質な革のサンダルを合わせると、ぐっと大人っぽく、洗練された印象になります。
淡いベージュや生成り色の革なら、どんな色柄にも優しく寄り添い、深いブラウンやブラックの革なら、全体の印象をキリッと引き締めてくれます。少し涼しくなった夜風の中、提灯の灯りが革の上品な艶を照らし出す様子は、なんとも言えない風情がありますよ。
例えば、こんなショルダーポーチはいかがでしょうか。(防水革 キャッスルショルダーポーチ <TAANNERR>)
【レザーアイテムブランド TAANNERR公式WEBサイト】
この夏の終わりに、まずは革製品を優しく労ってあげること。そして、来るべき秋に向けて、新しいコーディネートを考えてみること。
ほんの少しの気遣いと愛情が、あなたの革製品をより美しく、かけがえのない「相棒」へと育てていきます。この夏溜まった疲れをきちんとリセットしてあげれば、リフレッシュした革の相棒は、きっと最高のコンディションで、あなたと過ごす新しい季節を待っていてくれるはずです。
今回は、ここまで。
それでは、また次回に
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