株式会社山陽

 

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天然皮革と合成皮革・人工皮革の違い

みなさんが使用されている靴やカバンには「革」を使っているものが多いと思いますが、その「革」は大きく2つに分けられます。動物の皮を原料とする「天然皮革」とポリウレタン樹脂などを使用して人工的に作った「合成皮革・人工皮革」です。
「合成皮革・人工皮革」の技術も向上し、天然皮革と見分けにくいものもありますが、その特徴は大きく異なります。

今回は、「天然皮革」と「合成皮革・人工皮革」の違いについてご説明します。

天然皮革

天然皮革は文字通り、天然の動物の皮から作られた革です。本物の革という意味で、「本革」、「real lather」「genuine leather」とも呼ばれます。
天然皮革の構造は、「銀面層」と「コラーゲン層」から成っています。
「コラーゲン層」は、たんぱく質であるコラーゲンの繊維が立体的に絡み合い組織を形成しています。
「銀面層」とは、「表皮部分」に近い部分で、緻密な繊維構造を持っています。

見分け方のコツですが、天然皮革の裏側はビロード生地のような起毛状態になっています。これを革の用語で「床面」と呼んでいます。天然皮革がどうかわかりにくいときは革の裏側を見てください。

合成皮革

合成皮革、人工皮革ともに人工的に天然皮革の構造に似せて作った素材です。
その原料は、石油を原料にするポリウレタン樹脂やポリエステル、ナイロンなどからなっています。

合成皮革の構造は、ベースとなる素材に編物や織物を用いてその上部にポリウレタン樹脂を厚く塗ったり、貼り合わたりしたものです。また表面は天然皮革に似せたシワを人工的に作り出しています。

人工皮革

人工皮革は、より天然皮革に構造を似せて作った素材です。
ベースは、超極細状のナイロンやポリエステル繊維を立体的に絡み合わせたうえ、ポリウレタン樹脂を浸み込ませて組成した「不織布層」です。
また、表面は大半がポリウレタン樹脂を用いた「表面樹脂層」を施し、本物の皮革に似せたデザイン加工によって、天然皮革と似た構造と風合いを作りだしています。

天然皮革と合成皮革・人工皮革の違い

1)吸湿性と放湿性

天然皮革はもともと動物の皮だったものなので、「呼吸」します。つまり、湿気が高い面では、湿気を吸い取り(吸湿性)、その反対の面ではその水分を適度に発散します(放湿性)。
一方、合成皮革・人工皮革は天然皮革の外観や構造をまねて作られたものなので呼吸はしません。
しかし、天然皮革は水を吸いやすく「しみ」などになってしまうことがあります。雨の日には革製品の使用を控えましょうとか水に濡れたらすぐに拭き取りましょうというのはこのためです。一方、合成皮革・天然皮革はビニールやプラスチック素材のように水を通さない性質のものですので、雨の日の使用にも影響を受けにくいのです。

※私たちタンナー(皮革製造業者)では、水を通しにくい「防水性」のある天然皮革の製作にも取り組んでいます。
防水皮革についてはこちら

2)経年変化と経年劣化

天然皮革は、革として完成した後も、熟成のような経年変化(エイジング)が現れ、その変化を楽しめるとともに、劣化しにくくしっかりと手入れをすることで10年以上という長い期間使うことができます。一方で、合成皮革・人工皮革はその原料であるポリウレタンが、空気中の水分と結合して徐々に経年劣化していきます。(「加水分解」と言います。)そのため着用していなくても、少しずつ劣化が進み、その寿命は製造から3年程度と言われています。表面が徐々にぬるぬるした感じになったり、さらに進行すると表面にひび割れが生じてきます。

3)価格

天然皮革の場合、どうしても合成皮革に比べて原料となる原皮の数に限りがあることや工程が複雑なことから価格は高くなる傾向はあります。
しかしその分手入れをして長期間使用できます。優れた性質を持つ革素材の製品を長く使って頂ければ、タンナーとしてはうれしい限りです。

天然皮革と合成皮革・人工皮革の違いをまとめると以下のようになります。

天然皮革 合成皮革・人工皮革
素材 天然の革。通気性が良い。 ポリウレタンなどの化学的な物質。
水を弾くため汚れにくい。
耐久性 高い。
経年変化で色合いや質感に味がでる。
低い。
経時劣化して表面剥離する場合がある。
寿命 10年以上 ※手入れを行う 3年程度
重さ 重い 軽い
価格 高価 安価

次回は、「天然皮革」の良さをもう少し踏み込んでご紹介します。

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