山陽Letter
【山陽レザー】#006 アーマー(グローブひも用革) ~「切れない革」を目指して
革の世界
皆さんも靴やカバンなどの「革(※)で作られたものを使われていると思います。私たちの身近にある「革」という素材は、牛や羊、馬、ヤギなどの動物の「皮」から作られているものということはご存知だと思いますが、いったいどうやって「皮」は「革」になるのでしょうか。
それには、人類が5000年前から培ってきた「なめし(鞣し)」という加工が行われます。
この「なめし」を行うことで、動物の皮本来の強さを生かしながら、腐敗せず、生活用品に適した「柔らかさ」や「質感(手触り、ある程度の硬さなど)を持った「革」へと変化します。
それでは、「なめし」とはどういった事を行うのでしょうか?
「皮」をなめして「革」にするには実に、20を超える工程を行います。それでは、具体的に見ていきましょう。
(※)こちらの文章では「革」は「天然皮革」を指しています。「合成皮革・人工皮革」については、こちらをご覧ください。
<原皮から革素材になるまで>
こちらの動画(「Make One Leather(VR動画)」一般社団法人日本タンナーズ協会)でも解説しています。 ※こちらの動画で紹介されている革製作の現場は㈱山陽です。
原皮は食肉の副産物として出た動物の皮です。腐敗を防ぐために塩づけにされています。
タイコ(またはミキサードラム)と呼ばれる機械に入れて、汚れや塩分を洗い流し、もともとの生皮の状態に戻します。
皮の裏面に付着している不要なものを取り除きます。
石灰水を使って毛などを取り除きながら柔らかくしていきます。
不要な部分を取り除き、大まかに厚みを整えます。
仕上げる革の性質によっては、再度、石灰を使って皮を柔らかくしていきます。
皮から石灰を取り除き、表面を滑らかにします。
皮を酸に漬けます。なめしをスムーズに行うために行います。
クロムやタンニンを使って皮に様々な耐久性を持たせていきます。ここで「皮」は「革」になります。(※この工程については、今後詳しくご説明いたします。)
革の余分な水分を絞ります。また一頭分の革を背中で半分に割っていきます。(背割り後の革は「半裁」と呼ばれています。)
使用用途に応じた厚みに革を削ります。
使用用途に応じた特性や風合いを出していきます。
革を染め、脂分を加えます。使用用途に応じた色に染め、革らしい風合いにしていきます。
染色した皮の水分を取り除くとともに革を伸ばしていきます。
乾燥させます。これにより革の状態が安定します。
革を揉みほぐして、より柔らかくします。
仕上げしやすいように、形を整えて乾燥させます。
使用用途によっては、表面をペーパーなどで軽く削る場合もあります。
使用用途に応じて革の表面に色をつけていきます。
染色では革の中側まで色をつけますが、塗装は表面だけに色をつける工程です。
※塗装の種類は、今後詳しくご説明いたします。
革に上品な艶感を出していきます。
革の美しさをより引き立たせるようにアイロンをかけていきます。また使用用途に応じて、模様をつける加工を行います。
最終検査を行います。
革の大きさを計り、革製品の加工業者などに出荷されます。
革を使った製品になります。(靴・カバンなど)
次回は、代表的な「なめし」の2つの方法(クロムなめし・タンニンなめし)をご紹介します。
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