山陽Letter
【山陽レザー】#005 サバナオイル/サバナワックス
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革の世界
これまで「皮を革」にする加工(なめし)についてはお話してきたのですが、「革」になるのは、どんな動物の皮なのでしょうか?
結論から申し上げますと、どんな動物(脊椎動物)の皮も「革」にすることは可能です。
山陽では、牛の革を生産していますが、他の動物、例えば馬や豚、爬虫類のワニやトカゲ、特殊なところでは魚類の革を生産されているタンナー(製革業者)さんもいらっしゃいます。
確かにどんな動物の皮もなめしは可能なのですが、長きにわたって「革」を利用していく中で、革製品として利用しやすいものや供給が安定しているものという点からある程度どのような動物の革が利用されているのかが決まってきています。
今回から2回シリーズでどんな動物の革があるのか、そしてその特徴をご説明したいと思います。
第1回目は、皆さんが良く目にされる哺乳類系の動物の皮から作られたオーソドックスな革をご紹介します。
牛革は革製品に最もよく使われている革です。皆さんにも一番馴染みがあるものではないでしょうか。その理由は、全般的に大判で厚く、繊維組織が比較的均一で強度や耐久性に優れているという事、そして食肉加工の過程での副産物である牛の皮を使っているので原皮の供給が安定しているという事があげられます。
ほとんどの革製品に用いることができるくらいオールマイティーに使用できる革です。そのため同じ牛革でも牛の生育度や部位によって細かく分類されて使用されています。この点は改めて別の記事(読み物|NOTE)でご説明したいと思います。
【主な利用用途】くつ、財布、バッグ、衣類、家具、車の内装などあらゆる用途に使用
豚革の特徴は、毛穴が3本ずつ空いていることです。よく見ると固まって3つの穴が並んでいます。このため他の革よりも通気性にすぐれており、靴などの裏革に使われることも多いです。また牛革に比べて薄く軽いという特徴もあります。組織を構成するコラーゲン繊維が細かいためなのですが、そのために表面をバフィング(ペーパー掛け)し、スエードなどの起毛革として使われることも多いです。
加えて豚革の原皮のほとんどは国内産です。唯一、国内で原皮の供給がまかなえている革です。
【主な利用用途】バッグ、衣類、くつ(裏革)、財布など
牛革に近い印象のある革ですが、牛革に比べると薄く・しなやかさが有り、毛穴数が少ないため銀面(表面)もなめらかであるという特徴があります。
馬革のしなやかさは、牛に比べて運動量が多いからとも言われています。強度も十分にあるためインテリア、レザーウェアなどにも使われます。
また臀部(お尻の部分)には非常に緻密な繊維組織の層があります。この部分は「コードバン」と呼ばれ、高級な革製品に用いられることが多いです。
【主な利用用途】財布、バッグ、くつ、衣類、家具など
大人の羊革はシープスキン、子羊革はラムスキンと呼ばれています。繊維が細かく、その結びつきも緩いので、革になった時にとても柔らかくなります。
表面は凹凸の少ないシボ模様で、しなやかな印象を受けます。そのため手袋や衣類に使われることも多いです。「ラムのレザーコートをもっている」という方もいらっしゃるかもしれません。
【主な利用用途】バッグ、衣類、手袋など
ヤギ革は薄いのですが、弾性繊維というものの密度が濃く強度があるという特徴があります。銀面(表面)は独特のシボ(羊よりも若干粗い印象)があり、耐摩耗性に優れています。そのため革小物や大きくないカバンなどを作るにはとても良い革です。個人的にはとても使いやすい革という印象があります。ただ牛革に比べて小さく、これまでにご紹介した革に比べて流通量が少ないため入手し難いかもしれません。
大人の山羊革はゴートスキン、子山羊革はキッドスキンと呼ばれています。
【主な利用用途】バッグ、財布、衣類、くつなど
日本で古くから使われてきた革です。昔の革はほとんど鹿革が使われていたようです。(蹴鞠〔けまり〕や鎧〔よろい〕、足袋〔たび〕など)
伝統的な姫路白なめし革も、元は鹿革で作られていました。兵庫県では現在も鹿革にこだわり製作されているタンナーさんもいらっしゃいます。
クロムでなめされた鹿革は非常に柔軟な感触を持つ良い革で、手袋や衣類に使われたりします。
セーム革として使われることも多いです。セーム革は銀面(表面)を除いて油でなめされた鹿革です。ガラス製品や楽器などのお手入れに使われています。
【主な利用用途】バッグ、手袋、衣類、財布、ガラス製品のお手入れ用(セーム革)など
水牛(アジア水牛)の皮がなめされて作られた革です。場合によっては、アメリカ野牛(アメリカバイソン)を使っていることもあるようです。牛族ですので、牛革に近い特徴がありますが、皮が厚く丈夫、銀面のシボが大きいワイルドな印象を持った革です。
【主な利用用途】財布・バッグ・衣類など
今回はここまでです。
少しでも、それぞれの革の違いをご理解いただけましたら幸いです。
もし身近に革製品を持たれていましたら、改めて「どの革」なのかを調べてみると楽しいかもしれません。
では、また次回に。
<参考資料:レザーソムリエ公式テキスト(日本革類卸売事業協同組合 発行)>
※レザーソムリエについてはこちらをご参照ください。
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