山陽Letter
靴磨き選手権大会 ~革靴にかける熱き戦い
革の世界
このページをお読み頂いている方の中には、レザークラフトを趣味にされている方や革製品を愛好されている方が多くいらっしゃるのではないでしょうか。
レザーショップや革製品を売っているお店などに行かれた際に「ヌメ革」という言葉を聞かれた事がありませんか?
なんとなく「ベージュ色や茶色で、経年変化する自然っぽい革」というイメージをお持ちの方も多いのではないのかな?と思います。
実際、私も革にかかわる仕事をするまでは、「着色していないベージュ色の革のことだ」「アメ色に変わる革のことだ」と思い込んでいました。
確かに間違いではないのですが、タンナーの立場から本物の「ヌメ革」についてご説明させてください。
ヌメ革の条件は、以下の3つすべてに当てはまるものだと考えます。
植物から取れる「タンニン(渋)」だけを使ってなめし処理がなされた革であることが最も重要です。「タンニンなめし」は古代から使われてきた伝統的ななめし方法です。時間が経つとエイジングと言ってアメ色に変化することが特徴です。(経年変化)ちなみにエイジング(経年変化)とは、革に含まれたタンニンの成分が表面に出てきて、鉄等と反応して黒く変色している状態の事です。ですので、タンニンが入っていない革は経年変化が起こりませんし、ヌメ革とも言えませんよね。(下の写真は、ヌメ革の鞣しに使われる「タンニン粉」です)
※タンニンなめしについては、以下のページ(読み物 | NOTE)でも解説しています。ぜひご覧ください。
【タンニンなめしとは(1) ~タンニンって何?~】
【タンニンなめしとは(2) ~2つの製法について~】
しっかりと滑らかな銀面(表面)が出ていることも重要です。革の中には、表面に「ワニ柄(クロコダイル柄)」や「シボ柄」、「ペイズリー柄」等の型が押されたものがあります。また、表面をペーパー掛けして顔料を定着させた「ガラス革」という革もあります。このような表面処理を行わずに、あくまで必要最小限の加工のみを行った革です。
3つ目はピット槽というプールのような「おけ」にタンニンを含んだ液を作り、長時間をかけてなめしていることです。現在、日本でピット槽を使ってなめし処理を行っているタンナー(製革業者)は数少ないのですが、ピット槽でなめした革と一般的な方法(ドラムを使う方法)でなめした革とでは、繊維の密度に差が出ます。やはり、ピット槽でなめした革であることは重要だと考えます。
※ピット槽でのなめしについては、以下のページ(読み物 | NOTE)でも解説しています。ぜひご覧ください。
【タンニンなめしとは(2) ~2つの製法について~】
最後の「ピット槽でタンニンなめしを行っている革」という条件は難しく、これら3つの条件を満たしている革を他とは区別して「本ヌメ革」と呼んでいらっしゃる方やショップもあります。(山陽でもラベルには「本ヌメ革」と記載しています。)
革を愛好されている方々には、ぜひ本物の「ヌメ革」で作った革製品に触れて頂ければと思います。
また、株式会社 山陽ではピット槽を備えており3つの条件をすべて備わったヌメ革を作っています。
山陽で作ったヌメ革を一度ご使用いただけたらと思います。
レザークラフトを趣味にされている個人の方向けにも直接販売しています。
ご興味がある方は、お問い合わせページから、まずご一報いただけましたら幸いです。
「ヌメ革」というと、「ぬるっと」した革のような印象を受けますが、ヌメ革を漢字で書くと「革に光で 𩊠(ぬめかわ)」であったり、「滑革」(すべるかわ)と表記されます。
表面が「つるっとした」、「光る」革を「ヌメ革」と呼ぶようになったようです。
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