山陽Letter
【山陽レザー】#006 アーマー(グローブひも用革) ~「切れない革」を目指して
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こんにちは。
山陽の読み物(NOTE)をご覧いただきましてありがとうございます。
今回は、「靴磨き選手権大会」をご紹介したいと思います。
皆さんは「靴磨き選手権大会」というものがあることをご存じでしょうか?
恥ずかしながら私はこの度初めて知りました。
関係者の皆様、申し訳ございません。m(_ _)m
「靴磨き」という技術が、ひとつの職業として確立していることは知っていたのですが、技を競うという世界がある事に今回驚いています。
そこで、まずは「靴磨き」というものについて、少し掘り下げて見てみましょう。
中世ヨーロッパではダビン(保革油)と呼ばれる革製品を保湿する天然の油を使って靴を手入れしていたそうです。これは靴に輝きを与えるためではなく、保湿して長持ちさせることが目的でした。
しかし18世紀の後半あたりになると光沢を持つ靴が登場し、保湿だけでなく輝きを保つことも重要視されてきました。さらに19世紀になると産業革命を経て靴が大量に生産することが出来るようになり、多くの人が革靴を履くようになりました。この頃から靴磨きは習慣化されるようになり、それを職業とする人々が現れました。
最初は、童話で見るような子供たちがストリートで靴を磨いているというものだったとも言われています。日本においても太平洋戦争後の社会の貧困の中で子供達が、お金を稼ぐために始めたのが、靴磨きであると言われています。彼らはのちに、『シューシャインボーイ(靴を磨く少年)』と呼ばれ、これが現代の靴磨き職人の礎となっています。
ですが、現代の靴磨きは当時とは一線を画すものになっています。靴磨き職人の技術は一朝一夕の鍛錬で身につくことではありません。今では店を構える人も多く、れっきとした『職業』として確立しています。
華麗にスーツを着こなして靴を磨く姿は、『紳士のたしなみ』としての靴磨き文化を作り上げています。
この靴磨きの技術を競う大会が開催されるようになったのは、実はごく最近の事で2017年5月にロンドンで初の世界靴磨き選手権が開催されました。その後、スウェーデン、ロシアなどでも開催されるようになり、私たち日本でも2018年から「靴磨き選手権大会」(一般社団法人 日本皮革製品メンテナンス協会 主催)が開催されるようになりました。
これまでに4回開催されています。(2018年、2019年、2020年、2023年)
このたび2024年8~11月に5回目となる「靴磨き選手権大会2024」が開催されています。
大会は、ファースト・ラウンドとファイナル・ラウンドで構成されており、ファースト・ラウンドは、福岡で8月17~18日に、東京で10月12~13日に開催。ファイナル・ラウンドは11月9~10日に開催されます。
片足の場合10分間・両足の場合20分間をかけて靴を磨き上げ、①テクニカルポイント②プレゼンテーションポイント③アディショナルポイントの合計点で勝敗を決まります。技術に加えて、磨いた靴について表現(プレゼンテーション)する力も大切になってくるのですね。
<詳しくは、靴磨き選手権大会特設サイトをご覧ください>
ファースト・ラウンドの福岡会場(8月17~18日:岩田屋本店 本館7階 大催事場)はすでに終了していますが、その模様はYouTube動画《靴磨き選手権大会(Championship of shoe shining)【公式】》で配信されていますので、ご興味のある方は、ぜひご覧ください。
【LIVE配信】靴磨き選手権大会2024 1st Round 福岡_DAY1
【LIVE配信】靴磨き選手権大会2024 1st Round 福岡_DAY2
ファースト・ラウンドの東京会場(10月12~13日)は、「代官山T-SITE GARDEN GALLERY」で行われますので、こちらもご覧いただければと思います。
もちろん会場に足をお運び頂きたいのですが、YouTubeでのLIVE配信もあるそうです。
【LIVE配信】靴磨き選手権大会2024 1st Round 東京_DAY1
【LIVE配信】靴磨き選手権大会2024 1st Round 東京_DAY2
そして、優勝者が決まるファイナル・ラウンドですが、大阪 阪急うめだ本店 阪急うめだホールにて11月9日に準決勝戦・10日に決勝戦が行われます。
実は、昨年2023年のファイナル・ラウンドでは、私たち山陽のレザー[熟成革]が使われたスコッチグレイン(ヒロカワ製靴)様の靴が使われました。
今年は、どの靴が使われるのでしょうか。今から楽しみです。
最後に、靴磨きの始まりから靴磨き選手権大会までのお話を進めてまいりましたが、今回紹介しました靴磨き選手権やこちらのブログが靴磨きの素晴らしさに気付いて頂けるきっかけになればとも思っています。
私自身が靴磨きの価値・意味に気付かされたのは、水野敬也さんの「夢をかなえるゾウ」という本に出てくるエピソードです。この本は冴えないサラリーマンの主人公の前に現れたゾウの姿をしたインドの神様「ガネーシャ」が主人公にいくつもの課題を出し、クリアしていく中で成長していくという流れなのですが、その最初の課題が『靴を磨く』でした。
細かな内容は割愛しますが、「自分が仕事をしている時も、遊んでいる時もずっと支えてくれている靴を大切にできない人が成功するはずがない!まずは、靴を磨け!」と言って課題を与えます。
実際に靴を磨いてみると、靴がきれいになると同時に心の中も透き通っていくように感じます。そしてきれいに磨かれた靴を履いて出勤したときは、気分が晴れて背筋が伸び、仕事も捗るような気がします。
まずは、ブラッシングや乾拭きからでも行ってみてはいかがでしょうか。
私たちタンナーは、一人でも多くの方々が靴などの天然皮革製品を手元に置き、大事に使ってもらえたらと願っています。
それでは、本日はここまで。
また次回に。
追記
株式会社山陽は、靴磨き選手権大会2024のオフィシャルスポンサーとして協賛しています。
◇靴磨き選手権大会2024特設サイト【公式】
https://jlpma.net/championship/
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