山陽Letter
【山陽レザー】#005 サバナオイル/サバナワックス
山陽Letter
シリーズ『山陽レザー』では、山陽の革を毎回1つ取り上げて、その特徴や詳細な内容をご紹介します。
今回は、環境に優しい革、低VOCレザーの「エアリアル」です。
概要
ご紹介する「エアリアル」は、揮発性有機化合物(VOC:Volatile Organic Compounds)の使用を抑えた環境配慮型のレザーです。
まず、揮発性有機化合物、略してVOCが何故良くないとされているのかをご説明します。
揮発性有機化合物は、その名の通り蒸発しやすい性質(揮発性)を持ち、大気中で気体となる有機化合物(化学物質)の総称です。
塗料や接着剤、インクなどに含まれる溶剤やガソリンから揮発してくるトルエンやキシレン、金属や機器の洗浄に使われるトリクレン(トリクロロエチレン)など主なものは200種類もあります。
大気に放出されたVOCは紫外線により化学変化を起こし「光化学オキシダント」という酸化力の強い物質になります。光化学オキシダントの濃度が高くなると光化学スモッグが発生します。またPM2.5の発生の原因の一つにもなっています。
皮革製造においても、ラッカー塗装を行う場合があり、VOCの発生が課題とされてきました。
そこでこれまでも現行のラッカー塗装からVOCが発生しない水性塗料への移行が試みられてきました。
この「エアリアル」は、この取り組みから生み出されたレザーです。
一般的にガラスレザーはラッカーを使った塗料でトップコートを行い、表面を均一に、艶感も整えています。(ガラスレザーについて、詳しくはこちらをご覧ください)
エアリアルは、ラッカー系のトップコートではなく、「水性トップコーティング」で仕上げました。
表面の撥水性や膜面の強度についても、これまでと同等であり実用性も高い天然皮革素材です。
開発当初は、黒色のみの展開でしたが、現在は、他の色も展開できるようになっています。
エアリアルの開発を受け、ソフトで銀付きのエアリアルも新たに開発しました。
ガラスレザーのエアリアルでは、紳士の革靴のような固くしっかりした用途に向くものでしたが、カジュアル向け鞄のような用途には向いていませんでした。
そこで柔らかな革にするとともに、革の良さを感じて頂ける銀付き革としました。(銀付き革について、詳しくはこちらをご覧ください)
また色の展開についてもパール塗装、メタリック塗装などにも対応しており、多様な用途に使って頂けます。
異常気象や環境変化、大気汚染による人体への影響などが、ここ数年で具体的な「形」として私たちの暮らしに影響を及ぼしてきていることは、皆さまも感じられているのではないでしょうか。
私たち山陽も、常に「地球環境への負荷軽減を考え、環境面への影響のより少ない選択」を行うようにしています。
まずはできることから一歩、環境負荷の少ない素材に注目し、使って頂ければと考えています。
ぜひ、皆さまの製品・作品作りにもぜひご活用ください。
ご興味のある方は「お問合せフォーム」からご連絡ください。ご相談からでも結構です。お待ちしています。
CONTACT
革の製造をご依頼の方はこちらから。
その他、レザーにまつわる、さまざまな
お問い合わせを受け付けております。
メールでのお問い合わせ