山陽Letter
【山陽レザー】#006 アーマー(グローブひも用革) ~「切れない革」を目指して
革の世界
こんにちは。
今回は革づくりに欠かす事の出来ない影の立役者「タイコ」についてお話ししたいと思います。
革を作っている工場や革づくりの現場の写真を見られた際に必ず写っている大きな機械、巨大な樽を横にした形の物体、これが「タイコ」もしくは「ドラム」と呼ばれているものです。
工場見学に参加された方も、この巨大なタイコに驚かれます。
さてこのタイコを使う目的、役割は何なのでしょうか。
それは、革(もしくは皮)と液体とをかき混ぜる物です。
私自身は、工場見学の案内をする際に「ドラム式洗濯機のお化け」とか「超巨大なドラム式洗濯機」という言葉で説明しています。
原理的には私たちの身近にある「ドラム式洗濯機」と同じものなのです。水、薬品など、革(もしくは皮)を中に入れて一定時間かき回して革の中に薬品などを浸透させる重要な役割を担っています。
山陽にも大小合わせて26台ものタイコがあり、様々役割を担っています。
主には以下のようなものです。
・原皮から毛を除去する
・鞣し前の原皮の状態を整える
・鞣す(当社では主にクロム鞣しに使っています)
・染色や加脂を行う
これらは全て革づくりに欠かせない工程であり、それを行うタイコはいわば「革づくりの影の立役者」といったところです。
また工場見学などでよく聞かれる質問に「タイコはなぜ“木製”なのですか?」というものがあります。
当社でつかっているタイコのほとんどは「木」で出来ているのですが、「金属」で作られたタイコも、もちろんあります。しかし多くのタイコが木製である理由は、メンテナンスがしやすいからです。
タイコの寿命は約20年間です。しかし、これは部分的な破損や部品交換をするというメンテナンスをしながら使った期間です。20年もの間にタイコの板の一部、特に出し入れする「口」の部分は、破損してきます。また薬品や染料、油分によって板は痛んできます。そういった場合に部分的にパーツ交換ができるというのが木製の一番の強みです。特に大型のタイコの場合、全て交換するのは大変な労力と費用が掛かりますので木製が向いているのだそうです。
あとタイコの内部には「ツノ」(もしくはダボ)と呼ばれる突起があります。回転する際に革を掬い上げて効率よく攪拌を行うためについているのですが、これも木製の場合の方が交換しやすいのです。
この度、当社でも一台の大型のタイコ(側面の直径3m超、横幅 約2.5m)が寿命を迎えました。
寿命を迎えたタイコは台座から外されて解体が行われます。
このタイコは2000年に当社に設置されたものだそうです。
2000年というと、シドニーオリンピックでマラソンの高橋尚子選手が金メダルを取った年でしたね。(時の流れを感じます。)
皆様も一度、革をつくっている大きなタイコが動いているところを見て頂ければと思います。
山陽では、毎月1回の「山陽レザー・デー」という工場見学イベントを行っています。
革づくりの事を知ってみたい!という方でしたらどなたでも参加頂けます。
詳しくは、こちらをご覧ください。
本日はここまで。
また次回に。
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