山陽Letter
靴磨き選手権大会 ~革靴にかける熱き戦い
革の世界
こんにちは。
今回は久しぶりに「革そのもの」についてのお話をしたいと思います。
ご紹介するのは、現在山陽でプロモーションを進めている「フィクス・レザー(Phix.Leather)」という革です。
(もしかすると繊研新聞様の記事などでご覧になられた方がいらっしゃるかもしれませんね。)
このフィクス・レザーの特徴は、キズや痛みが多く、等級としては最も低いとされている革を使っている事です。
革は天然の物であるが故に、どうしても動物が生きていたころの傷や皮膚病などからくる痛みとは切っても切れない関係にあります。
その為、同じ時期で同じ環境に育った牛の原皮でもその中には一定数の「キズや痛みが多い革」が発生してしまいます。
これは私たち製革業者にとって、最も悩ましい課題の一つです。
現在、最もオーソドックスに行われている加工方法が、革の表面をサンドペーパーで擦り(バフ掛けし)、その上で顔料系の塗料で塗装するといった方法でした。(代表的なものとして、ガラスレザーがあります。)
つまり革の表面を落として、お化粧をするといった手法で、素材としての均一性や強度は高くなります。しかし、いわゆる「革らしさ」というものが損なわれてしまうという課題もありました。
もちろん均一に塗装された革には、「美しさ」があり、高級ブランドのバッグや靴にも使われ、高く評価されています。
ただ今回ご紹介するフィクス・レザーは、そのキズや痛みをあえて見せることで「個性」ととらえることができるのではないかという発想から生み出されました。
そこで当社では、これらの革にワックス・オイルを通常よりも多く含ませ、より変化を楽しめるプルアップレザーとして仕上げました。
表面は銀面そのままに仕上げた「銀付き革タイプ」と、表面にマット感を出すために軽くバフィングした「銀擦り革タイプ」を製作しました。
令和となり、ダイバーシティ(多様性)やサステナブルが重視される時代となりました。
レザーの世界にも「唯一無二」であることに価値を見出して頂ける風潮が、さらに広がっていけばと私は思っています。
12月8日・9日に開催されます「第104回 東京レザーフェア」の当社のブースで現物を展示します。
ぜひご覧頂けましたらと思います。
最後にフィクス・レザーの名前の由来についてです。
「フィクス・レザー」は、“直す”という意味の「FIX」という言葉と、復活の象徴である霊鳥「フェニックス(Pheonix)」から命名しました。
フェニックスはみずから“火” に焼かれることで若い姿に蘇ると言われています。
山陽の技術という“火” によって多くの革を蘇らせ、皆様にお届けできればと思います。
本日はここまで。
また次回に。
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