株式会社山陽

 

NOTE

“本物” について考えてみる ~本革と言われるのはなぜ?

山陽の読み物(NOTE)をご覧いただきましてありがとうございます。

今回は、少し趣を変えて革にまつわる「本物」という言葉について少し考えてみたいと思います。

私たちは天然皮革を指す言葉として「本革」や「リアルレザー」、「Genuine Leather」などを使います。
いずれも「本物」を示す言葉なのですが、どういった意味合いが含まれているのかという事を、私自身は折に触れて考えてきていました。

本物という言葉を辞書で調べてみると以下のようにあります。

  1. 偽物や作りものでない、本当のもの。また、本当のこと。
  2. 見せかけでなく実質を備えていること。本格的であること。

天然の素材である「原皮」を使っている事、「鞣し」という工程を経ている事を満たしている事が条件になります。
実際、本革の定義として使われているのは「動物の皮を鞣した革の総称」といった内容です。
もちろんこれらを満たすことで本革と呼べると思います。

 

しかし、『それだけなのか?』という思いもあります。
例えば、「彼の才能は本物だ!」や「これが本物の味だ!」といった時に使われている“本物” は別の意味合いを持つと思うのです。
この“本物”は、材料や工法を超えて、もっと私たちが革・レザーに求めるものを体現しているように思います。
もちろん、お客様や使われる方によって求めるものによって変わってきますが、それらの意味と向き合いながら、その要件を満たすもの、出来ることなら良い意味で予想を超えるものに与えられる『称号』のようにも感じます。

先日、当社のベテラン技術者がとあるインタビュー取材の中で、『自分が入社した時には革の事をわかるには20年かかると言われました。でも30年以上経った今でも、わからないことはありますね』と言っていました。
モノ作りの世界では、時代に応じて新たな製法や技術が編み出されていきます。まったく同じものを作り続けることは不可能に近いです。
ですが、元々作り出された基本(革であれば動物の皮から作られる、鞣しが行われる)を忠実に守り、先人をリスペクト(敬愛)しながら、常にアップデートしていく姿勢の末に作られたものこそが、間違いなく “本物” と呼ばれるものに値するのではないかと私は考えます。

わが社、山陽でも113年前の創業時からは、製法などは大きく変わっています。当時は作ることが出来ても、現在では作ることが出来ない革や、逆に今だからこそ作ることが出来る革もあります。
しかしその中で変わらないのは、作る人に喜んでもらえる革を作ろうという精神(フィロソフィー)です。
私たちは、これを「Maker’s Leather ~すべての革製品を作る方に最適な革をつくる~」という言葉ととともに日々の革作りに取り組んでいます。

ナチュラルさを重視した「革らしい革」「機能性を重視した革」「環境負荷を減らす革」など様々な革をお届けできるように日々頑張っています。
先日の東京レザーフェアでも、多くの先進的な革をご覧頂きました。(詳しくはこちらへ)

「革でこんなことが出来るだろうか?」「こんな素材を探している」という方は、ぜひ山陽にも相談してみてください。

皆様のご連絡をお待ちしています。

それでは、本日はここまで。

また次回に。


山陽レザーに関するご相談がございましたら、お気軽に下のメッセージフォームからご一報ください。

【株式会社 山陽 お問合せページ】

 

 

編集後記

私が「本物」という言葉に対して、意味を考えるようになったきっかけは、兵庫県淡路島在住の湊かなえさんの小説「豆の上で眠る」です。
ミステリー小説ですので、詳しい説明は控えますが、幼い頃に誘拐され2年後に返ってきた姉と主人公の妹との間に感じる違和感からはじまり、ラストには強烈な真実が明かされます。
その最終ページの最後の文章が「本ものって、何ですかー」でした。
読まれた方の多くは、その一文で答えのない迷路に入り込んでしまった感覚を覚えられたのではないでしょうか。私もその一人です。
そこから「本物」という言葉を使うたびに、この話が思い浮かびます。
そんな気持ちを持ちながら、今回、私なりに「革における本物」を表現してみました。
一つの考えとしてお読み頂けましたら幸いでございます。

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