山陽Letter
“本物” について考えてみる ~本革と言われるのはなぜ?
山陽Letter
山陽の読み物(NOTE)をご覧いただきましてありがとうございます。
今回は、11月21日・22日に東京・都立産業貿易センター 台東館で開催されました「第108回 東京レザーフェア」の模様をレポートいたします。
冬に開催される東京レザーフェアは例年12月上旬に開催されるのですが、今回は少し早めの11月開催になりました。
初日の11月21日は残念ながら雨模様で少し肌寒さを感じる天候でした。ですがレザーにご関心を持って頂いている企業・工房の方々、熱心なレザーファンの皆様の熱気で少し熱くさえ感じられる、そんな雰囲気でスタートしました。
今回のテーマは『ACTION 未来ははじまっている』。これからの世代・新しい未来に向かって皮革業界ができる事を皆様に知ってもらおうという展示会であったと思います。
私たち山陽も前回までとは少し趣を変え、『未来に向けた皮革の可能性』として、より特徴的な革を中心に展示しました。
「地球環境に配慮した革」 「防水(撥水)性・難燃性を追究した革 」「新しいグローブ革 」「傷に強い革」などです。
それでは、順にご紹介していきましょう。
今や「地球温暖化」という言葉を聞かない日が無いくらい直近の課題となっている地球環境への対策。私たちは、その大きな要因である温室効果ガスの低減について石油由来の材料を生物由来(植物由来)や水性材料に置き換える取り組みを長く行ってきています。
その中で、石油由来のウレタンコーティングを植物由来に置き換えた『シェブラン』、現在の皮革技術で極限まで生物由来に置き換えた『コンパクト』(※)、ラッカートップコートを水性トップコートに置き換えた「エアリアル」「ニュージェネレーション」です。
(※)NPO法人 日本皮革技術協会、兵庫県立工業技術センター皮革工業技術支援センター、スタール・ジャパン株式会社、株式会社 山陽の共同開発。
山陽の得意分野である機能性を持った革の中でも皆様からのご要望も多い防水(撥水)革の中で、新作を2点展示しました。
一つは、撥水性を持ったヌメ革「QHガルーラ」です。これまでヌメ革に関しては、防水性や撥水性とは無縁の物と思われてきました。私たちもご要望は頂きながらご提案が出来ずにいましたが、今回撥水性を付加したヌメ革が完成しました。それが「QHガルーラ」です。この革は水が当たっても弾き、水玉となって流れていきます。また水の染み込みにくさについても従来のヌメ革に比べて格段に向上しています。
もう一つが、耐油性も兼ね備えたフッ素フリー防水革「レジスト」です。
フッ素を使った防水革からフッ素を使わない防水革に移行した際に、これまで備えていた耐油性が損なわれてしまっていました。その耐油性も兼ね備えたのが、この革です。
以前にこちらの読み物でも紹介しましたのですが、油性ボールペンの汚れをこすることで落とすことができます!(詳しくは、こちらをごらんください)
山陽では野球グローブ革の開発に力を入れてきました。
もともと靴用の革を生産することが多かったのですが、その技術を応用することでいわゆる「銀浮き」が少ないグローブ革に仕上がっています。
また今回の新商品として、「クールグローブ」を展示しました。記録的な猛暑を更新し続けている夏に野球プレーヤーの手への負担を少しでも軽くするために赤外線を反射する特殊な加工を施した革です。
そしてこれまでも参考品として出品していたグローブひも用に開発した「アーマー」も展示しました。通常の革の約4倍の引っ張り強度を持ち、たった2cm×11cmの革小片が100kg以上の重さを支えることができる、山陽史上最強の革です。
山陽の機能性革の中で、高く評価頂いています「スクラッチタフレザー」。この革は、ひっかき傷などが付きにくい特殊な軟質塗装を施し、傷から革製品を守るとともにある程度の傷なら徐々に自己修復していくといった優れた機能を持っています。(スクラッチタフレザーについて、詳しくはこちらへ)
また今回は柔らかなバッグなどにも使用して頂ける、銀付きのソフトタイプ「スクラッチタフレザーFG」も展示しました。
これら以外にも、山陽の大きな特徴であるピット鞣し革(日本で数えるほどしか行っていない、ピット槽で1カ月間タンニン液に漬け込む革 いわゆる本ヌメ革)。キップ・カーフを中心としたプレミアムラインの革も展示しました。
例年どおり、多くの方々に山陽ブースにお立ちより頂きました。今回の特徴のある革をご覧になられて、革ってこんなこともできるんですねというお言葉も多くいただきました。
また「ここが山陽さんのブースなんですね。読み物(NOTE)を読んでいます。このサイトが一番詳しく書いてあるから。」や「レザーソムリエの勉強に活用させて頂きました。」といった嬉しいお言葉まで頂き、この読み物(NOTE)が皆様とリアルにつながる入口になっている事にも感動しました!
山陽は、これからも「未来に向けてACTION!」していきます。
「こんな革、ありませんか」「紹介された革を実際に見てみたいんだけど」なんでも結構です。皆様のお役に立てる山陽であり続けます。
本日はここまで。
また次回に。
今回ご紹介した革や、革に関するご相談がございましたら、お気軽に下のメッセージフォームからご一報ください。
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