株式会社山陽

 

NOTE

【山陽レザー】#006 アーマー(グローブひも用革) ~「切れない革」を目指して

山陽の読み物(note)をご覧頂きましてありがとうございます。
シリーズ『山陽レザー』では、山陽の革を毎回1つ取り上げて、その特徴をご紹介しています。

今回から3回に渡って、野球グローブにまつわる革をご紹介していきたいと思います。

今年は、プロ野球の盛り上がりもさることながら、大谷 翔平選手をはじめとするメジャーリーグ(MLB)での日本人選手の活躍、そして所属球団であるロサンゼルス・ドジャースのワールドシリーズ優勝と、日本人の「ベースボール」が世界的にも注目された一年だったのではないのかなと感じています。

その野球に欠かせない「グローブ」には、革が使われていますよね。
プレーヤーの方が気持ちよく、そして良いプレーにつながるような革を私たち山陽も素材メーカーとして日々研究を積み重ねています。

そこで、今回ご紹介したいのは、「アーマー」という革です。

この革は、グローブの各部分を繋ぎ留めている「ひも」に使われることを想定した革です。
『「ひも」だけの特別な革?』と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、私たちはグローブにおける「ひも」とは、私たちの身体に例えると「骨格」のようなものではないかと考えています。
グローブを形づくるために必要不可欠であり、それがしっかりしたものになることでプレー中の安心感、そして長くグローブが使えるという事にもつながるのではないかと考えました。


この革の開発には、約2年の期間を要しました。
鞣し方の研究から始まり、染色工程での調整などなど・・・
グローブに使うレザーは強度を優先するために、いわゆる「再鞣し」という2回目の鞣しは行いません。そのため、一発勝負であり通常の革以上に鞣しが重要となってきます。
特に、この「アーマー」では、その鞣し方法にこだわっています。
実は私たちがよく知る「クロムなめし」や「タンニンなめし」ではない、特殊な鞣し方で作られているのです。加えて最も強度を高める最適な「鞣し度」を探し当てるのに試行錯誤が繰り返され出来上がった革なのです。

また、あまりにも強い革であるため、ネット張り乾燥を行った際にタンナーズフックが破損するという事も起こったそうです。
このような多くの課題をクリアし出来上がったのが、この「アーマー」です。

この革の強度を測定すると結果は以下のようになりました。

引張試験

10センチ長の革小片の両端を測定器具に固定し引っ張り、切れるまでの力の強さを測定します。

32.96N/㎝2
※Nはニュートンの略。1ニュートンは、1 kgの質量を持つ物体に1 m/sの加速度を生じさせる力。
[通常の革は、約18 N/mm2

引裂試験

10センチ程度の中央に裂け目を入れた革の両端を測定器具に固定し、裂けるまでの強さを測定します。

137.62 N/mm2
[通常の革は、約30 N/mm2

いずれも通常の革に比べて高い測定結果となりました。
これが、今、山陽が作る事ができる「最強の革」です。

ぜひ多くのグローブ製作家の皆さんにお使い頂き、そして最終的には、プレーヤーの皆さんのお役に立てれば幸いです。

それでは、本日はここまで。

また次回に。

 


アーマー(グローブひも用革)に、ご興味のある方は「お問合せフォーム」からご連絡ください。
ご相談からでも結構です。お待ちしています。

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