山陽Letter
【山陽レザー】#006 アーマー(グローブひも用革) ~「切れない革」を目指して
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こんにちは。
山陽の読み物をご覧頂きありがとうございます。
2023年も残りわずかとなりました。今年最後の読み物は、日本古来の装束と革との関係に着目してみたいと思います。
革と装束というと真っ先に想像するのが、武具や防具といった類のものでしょう。甲冑や手・腕を守るための籠手(こて)の素材として使われていますね。
これは、革の強靭性、耐久性といった点を活かしたものです。(バイク用の革ジャンも体を防護する役割から普及しましたね。)
そのような実用的な利用のイメージが強い革利用ですが、素襖(すおう)という日本古来の装束の一部に使われています。
素襖とは、かつては武家の方々の礼装となっていたもので、「直垂(ひたたれ)」「大紋(だいもん)」といったものと同じ系列になるようです。
下の図のような装束なのですが、皆さんも時代劇などで見られたことがあるかもしれません。
出典:『装束着用之図』[2],写. 国立国会図書館デジタルコレクション より
https://dl.ndl.go.jp/pid/2553401/1/20
さて、こちらの素襖のどこに革が使われているのかですが、胸紐・小露(袖や胸の飾り紐)に使われています。
・胸紐(むなひも) … 上衣を胸元の前で結ぶ紐
・小露(こつゆ)… 袖(そで)や胸の飾り紐
これらの部分に革紐(※)が使われていることで、素襖は別名「革緒の直垂」とも呼ばれています。(※一枚物の革というよりは、リボン状にしたものです)
それでは、なぜ革紐が使われているのでしょうか。残念ながら、その明確な理由を知ることは出来ませんでした。
私の推測ですが、素襖という装束が他の武士の礼装である直垂や大紋に比べて位の低い方のものであり、より多くの方々に必要とされたため、身近な素材である革が使われるようになったのではないでしょうか。
いずれにせよ革という素材が礼装の一部として日本の長い歴史の中で使われているのです。
数日後には、2024年という新しい年がはじまります。2024年は、新紙幣の発行やオリンピックの開催などの新たな動きがあり、時代は進んでいきます。
温故知新 - 革という素材のこれまでの歴史を感じながら、新たな可能性への出発の年であることを願っています。
それでは、本日はここまで。
また次回に。
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