山陽Letter
【山陽レザー】#006 アーマー(グローブひも用革) ~「切れない革」を目指して
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シリーズ『山陽レザー』では、山陽の革を毎回1つ取り上げて、その特徴や詳細な内容をご紹介します。
今回は、防水グローブレザーの「ホッパー」です。
ご紹介する「ホッパー」は、防水加工を施したグローブレザーです。
その触感の良さや防水性から、様々な革製品に採用頂いています。
グローブレザーはその名の通り、野球のグローブに使われる革で、「耐久性があること」「弾力性があること」「柔軟性があること」という機能を持っています。
(グローブレザーについて、詳しくはこちら〔読み物 グローブレザー ~強く、しなやかに~〕をご覧ください。)
クロム鞣しを行った革です。クロム鞣しは、タンニン鞣しに比べて「のび」「やぶれ」などに対する物性強度に優れています。また、柔らかく、しなやかになるという特徴があります。
ホッパーでは、防水性のあり、粘度の低いオイルを浸透させています。
オイルの粘度が低く、さらっとした物であるため、革を触った時の触感は程よく手に吸い付くような感覚に仕上がっています。私個人的には、ヌバックなどの起毛革を触った時のような印象を受ける、心地の良い感覚です。
また革の表面および内部への水の浸透を防ぐ特殊なオイルを使い仕上げることで、吸水率試験(JISK-6557-6 質量法30分)では、基準である30%を下回り、15%という高い防水性を持っています。
加えてこの防水性はフッ素を使わない仕上げですので、昨今重視されている「フッ素フリー防水革」です。
表面を覆うカバーリング処理を行っていません。
グローブレザーの特徴でもありますが、染色加工を行った後は顔料による塗装やトップコーティングといったカバーリング処理は行っていないので、「素」の状態を楽しんで頂けます。
素上げ革であることも「心地のよい触感」になるような要因の一つとなっています。
一般的なグローブレザーでは、「半芯通し」と呼ばれる革の内部は染色しないという加工方法がとられますが、ホッパーは革の内部まで染色を行う「芯通し」の加工を行っています。
半芯通しに比べて、強度は若干下がりますが、その分「柔らか」・「しなやか」に仕上がります。
加えて、革の内部まで色が入っていることで、革の利用用途が広がります。
もともと野球グローブの為に開発されたグローブレザーですが、昨今は野球グローブだけでなく、かばんや財布・名刺入れなどの革小物まで使われるようになってきています。ホッパーはその代表的な革です。
これまでに説明してきました「耐久性」や「柔らかさ」は、普段使われる革製品にも必要とされる特徴です。
また革の断面に白い色が出ることがない芯通し仕上げである事や高い防水(フッ素フリー防水)加工も行っている事で幅広い用途に使って頂けるレザーとなっています。
これまでスムース革のみでしたが、型押し加工を行ったエンボスタイプも2023年12月より生産しています。(ホッパー Nノボ)
加工するエンボス型は生産時に選んで頂くことが出来ます。製品の用途に応じて使い分けて頂くこともできます。
グローブレザーというと、「専用の革」という印象・響きがありますが、革製品づくりにおいても広くご活用いただける素材で、展示会でも好評を頂いています。
皆さまの製品・作品作りにもぜひご活用ください。
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