山陽Letter
“本物” について考えてみる ~本革と言われるのはなぜ?
革の世界
こんにちは。
今回は、当社 山陽で工場見学を行った際に、おそらく一番多く質問される事についてお話ししてみたいと思います。
それは、「国産の牛と外国の牛の原皮ではどちらの方が良いのですか?」「神戸牛などのブランド牛のレザーって良い物なんですか?」など、国産牛やいわゆるブランド牛のレザーについてです。
この読み物(NOTE)でも折に触れてお話ししています通り、山陽レザーは食肉の副産物である原皮から作られています。つまり私たちの食生活を支えてくれている肉牛達の皮の部分を頂いてレザー(革)は作られています。
(ちなみに私たちに身近な国産の肉牛の原皮について関心を持って頂けている事は私自身嬉しく感じています。)
多くの方は、高価なブランド牛はレザーにも適しているだろうと想像されるかもしれません。
しかし実際は、外国産の原皮の方が厚く、しっかりした革を作るのに適しています。
その理由は、牛の育て方にあります。
外国とくに欧米では、牛肉は赤身が好まれる傾向にあるため、比較的筋肉質な体つきになるように育てられています。
それに対して国産牛、特にブランド牛は、脂がのった霜降りの肉が好まれる傾向にあるため脂肪分が多い体つきになるように育てられます。
革になった際に、この脂肪分が時に「しみ」になってしまう事があります。私たちはこれを「脂染み(あぶらじみ)」と呼んでいます。
またブランド牛の中でも良質な肉質を持つものは「A5」というランクの物と言われていますが、A5ランクの牛はメス牛が多いのです。
メス牛は、オス牛に比べると皮の部分が薄いです。その為、レザー(革)となった際も薄くなってしまいます。レザーは厚目の物の方が、より多用途に使えるため、好まれます。この点でも外国産に比べて不利になってしまいます。
(日本に入ってくる外国産の原皮の多くは、オス牛〈去勢済〉です。)
しかし国産牛のレザーも作られており、その革の特性に合った製品に活用されています。
近年は国産牛の革を知って頂く機会も以前より増えてきているように私自身は感じています。
レザー(革)は、本当に私たちにとって身近な素材です。改めてそのことを感じて頂けましたら幸いです。
それでは、本日はここまで。
また次回に。
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