山陽Letter
【山陽レザー】#006 アーマー(グローブひも用革) ~「切れない革」を目指して
革の世界
今回から数回にわたって、革に色をつける「着色」という点についてお話したいと思います。
少し専門的なお話も含まれるかもしれませんが、革の事を知って頂く上でとても重要なポイントになりますので、お付き合いいただけましたら幸いです。
さて皆さんは、色をつける材料として「染料」と「顔料」というものがあるのはご存知でしょうか。
最近はパソコンのプリンターなどでも「染料インク」や「顔料インク」という表示もあり、耳にされた方も多いかと思います。
革に色をつける材料にも、「染料」と「顔料」という2つの大きな分類があります。この2つは性格や用途が全く異なりますので、これを機にご理解いただければと思います。
「染料」は、その名の通り「染める」着色剤です。
第1の特徴は、「繊維層に浸透しやすい」ことです。
革でいうとコラーゲン層にまで「染料」は浸透し色をつけていきます。(下図)
そして、第2の特徴は「透明度が高い」ことです。
染料自体の透明度が高い着色剤であるため、繊維層に染み込んでも表面の風合いを損ないにくく自然な仕上がりになります。
革でいうと銀面(表面)にもともと備わっているシボ感や風合いを残しつつ色を付けてくれます。ちょうど色付きのセロファンを被せたような感じをご想像頂けると分かりやすいかもしれません。
「顔料」は、表面に色を乗せる性質の着色剤です。
下図のように、革の銀面(表面)に微細な色の粉が貼り付いた状態で色を付けます。
顔料の主成分は、非常に小さな「粉状」をしており、この粉を貼り付けるために「ラッカー」や「アクリル」といった接着させるための薬剤と一緒に表面に塗布します。
時間が経ち「ラッカー」や「アクリル」が乾くとともに「顔料」が表面に貼り付くという仕組みで色が付きます。
第1の特徴は、「粉」は微細な固形物ですので透明度が低いという点です。
その分、塗料自体の色をしっかりと着けることができます。そのため「鮮やかに」「均一に」着色することができます。
第2の特徴は、「カバーリング力が高い」という点です。
表面を固形物である顔料が覆うため、表面の強度(耐摩擦性)が向上します。
「染料」と「顔料」では、基本的にこのような違いがあります。
私たちタンナー(製革業者)は、これら2つの着色方法を駆使して、革製品メーカーや製作者の方々のイメージに合う革を製造しています。
次回は、実際に「染料」「顔料」が、革の着色にどのように使われているのかという仕組み・基本部分をご説明できればと思います。
ではまた次回に。
<参考資料:レザーソムリエ公式テキスト(日本革類卸売事業協同組合 発行)>
※レザーソムリエについてはこちらをご参照ください。
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