株式会社山陽

 

NOTE

皮革におけるJIS規格 (1) ~植物タンニンなめし革の定義~

山陽の読み物(note)をご覧頂きましてありがとうございます。

今回は、「皮革におけるJIS規格」と題して、「革」や「レザー」とはJIS規格の中でどのようなものとして定められているのかという点をお話ししていきたいと思います。

皮革、レザーも製造品ですのでJIS(日本産業規格)では、その製造法や性質について定められています。

初めに、私たちがよく耳にするJISについて確認しましょう。
JISは、我が国の産業標準化の促進を目的とする産業標準化法(昭和24年法律第185号。)に基づいて制定される任意の国家規格です。
つまり、産業活動によって生み出される製品の「標準化」を目的としたものなのですね。
この「標準化(Standardization)」とは、「自由に放置すれば、多様化、複雑化、無秩序化する事柄を少数化、単純化、秩序化すること」ことと言われています。

国レベルで制定した「規格」をもとに、全国的に「統一」または「単純化」することで、粗悪な品質の製品や消費者にとって使い勝手が悪いものが発生することを防いでいるのです。加えて維持していくための仕組みの作りやすくなっているとも感じます。

詳しくは、日本産業標準調査会のWEBサイト(https://www.jisc.go.jp/jis-act/index.html)をご覧ください。

JISというと、工業製品というイメージが強いのですが、「陶磁器」や「ガラス」といった嗜好品に類する物も含まれていて、規格総数は10,966規格にも及んでいます。(令和6年3月末現在)

私たち山陽が作っている革に関する細かなJIS規格は、JIS K 6541 : 2024 で定められています。
実は、この規格が定められたのは、2024年とごく最近の話です。(この点については、こちらの読み物(NOTE)もご覧ください)
内容は、「革、レザー」そのものの定義に始まって、それぞれの革についての詳細な項目があり、主なものはほとんど網羅されています。
こちらの原案作成には、「一般社団法人 日本皮革産業連合会」様が協力されておられ、細かなところまで行き届いた整備がなされているという印象を受けます。

 

今回は、「植物タンニンなめし革」について取り上げてみましょう。

JIS K 6541 : 2024の「3.2.5 植物タンニンなめし革、植物タンニン革、ベジタブルレザー」では、以下のように定められています。

『植物タンニンによってなめされ、革(レザー)中の全ての金属(クロム、アルミニウム、チタニウム、鉄など)の総含有量が0.3%(革の総乾燥質量に対する全金属の質量の割合)以下の革(レザー)』

つまり革の中に0.3%以上の金属が入っている場合は、植物タンニンなめし革とは言えないということになります。
これは革1kgに対して3g以下ということになりますので、厳しい数字であるように思われます。
革づくりに使う水質や設備などから、どうしても紛れ込んでしまう金属に関しては許容範囲であるが、意図的な金属の使用は認められないという事と理解することができます。

植物タンニンなめし革は、ナチュラルで人気の高い革ですが、物性的にはクロムなめし革のような「強さ」はありません。これは、天然のタンニンによる特徴であり、弱点でもあります。しかし、その点を補うために後の段階である再鞣しでクロムを補うという手法も取られるようになっています。このことで革に強さを付加できます。
ただし、それを「植物タンニンなめし革」と呼ぶにふさわしいかというと、JIS規格では『否』という判断がなされています。

もちろん、こういった製法の革も製品として悪いというものではありません。
ただし「植物タンニンなめし革」を欲している方に、間違いなくその物が届くようになるための規格なのです。

冒頭にお話しましたようにJISは、「任意」の規格です。しかし正しく守られることで、間違いなく製品価値を上げて行くと考えています。

山陽でも植物タンニンなめし革を作っており、JISの規格である金属類0.3%以下を遵守し革づくりを行っています。

革製品、革素材というと「嗜好品」「芸術品」という側面に注目しがちですが、このように産業製品であるという視点から捉えてみると更に理解が深まるように思います。

 

いかがでしたでしょうか。こちらの「皮革におけるJIS規格」シリーズは今後も続けて行きたいと思います。

本日は、ここまで。

また次回に。


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