山陽Letter
【山陽レザー】#006 アーマー(グローブひも用革) ~「切れない革」を目指して
革の世界
こんにちは。
山陽の読み物(NOTE)をご覧いただきましてありがとうございます。
前回の「革の厚さを調整する Vol.1 ~革の厚さはどうやって整えているの?~」はいかがでしたでしょうか。
“革の厚さを整える” 一つの調整を取り上げても、多くの段階を踏んでいる事を感じて頂けましたら嬉しいです。
前回は、全体を通してご覧頂きましたが、今回は「シェービング」という工程にフォーカスを当ててご説明していきましょう。
シェービングは、鞣しが終わり、脱水(水絞り)のみを終えた「ウェットブルー」という革に対して厚さを調整する工程です。
下の図のように、クロム鞣し革の場合はウェットブルーまでは、すべての革が同じ工程で作られます。
ウェットブルーは、鞣しあがった「革」ですので、ある程度、長期間の保管が可能になっています。
その為、原皮はまずウェットブルーにするという加工が施されます。
その後、それぞれのウェットブルーの出荷先・加工方法が決まり、最初に行われる工程が、「シェービング」です。
シェービングでは、お客様のオーダーに応じた厚みに調整していきます。
その仕組みは、下の図のように革の内面(床面)を円筒形のブレードで「剃り落として」いきます。
剃る(Shave)ため、シェービングと呼ばれています。
ちなみに私は初めてシェービングと聞いた時に、電気髭剃器(シェーバー)を思い描いたのですが、まさにそのイメージでした!
下の写真は、電気髭剃器(シェーバー)とシェービングのブレード(刃)の部分なのですが、シェービングの刃との内刃は似ていると思いませんか?(平行についているか、らせん状についているかの違いはありますが)
■電気髭剃器(シェーバー)
■シェービングの刃(ブレード)部分
このような構造、仕組みで革の床面が必要な厚さに調整されます。
当社で行われるシェービングは、革一枚分を一気に削るのではなく、前半分・後半分の2回に分けて作業が行われます。その為、全体を均一に調整できるようになるには、長期間の熟練が必要です。
加えて、この後の加工過程を想定してお客様の手元に届いた時にオーダー通りの厚さに調整する必要もあります。加工が進むにつれて革は若干薄くなる為、それを見越して少し厚めに調整します。
このように、シェービングは私たちタンナーの工程の中でも、とても重要な工程の一つと言えます。
(山陽レザーデーなどで工場を見学された方の中にも、この工程が印象に残ったと言われる方が多くいます。)
最後に、こちらのシェービングですが、刃は常にシャープになるように、機械を動かすと同時に研ぎも行われています。
その為、刃が徐々に摩耗してくるので、定期的に刃の交換が必要になります。
当社では、社内の「営繕課」が、刃の交換・メンテナンスを行っています。(機器のメンテナンスも可能な限り自社で一貫して行っています!)
いかがでしたでしょうか。
今回は、少し踏み込んだお話しとなりましたが、革をつくる「現場感」を少しでも感じていただけましたら幸いです。
それでは、また次回に。
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