山陽Letter
靴磨き選手権大会 ~革靴にかける熱き戦い
革の世界
山陽の読み物(NOTE)をご覧いただき、ありがとうございます。
2024年も平年より遅れながら6月23日には全国のすべての地域で梅雨入りしました。
この時期、どうしても革のカバンや靴などは使う事を避けがちになってしまいますね。
一般的に革は、合成皮革・人工皮革と比べて水の浸透力が強く、いったん水を含んでしまうと乾く際にシミになってしまったり、染料がムラになってしまったりといったトラブルになる可能性があります。
(この時期の革製品のメンテナンスについては、過去の読み物で掲載していますので、こちらをご覧ください。)
この弱点に対応すべく、水への耐性を強くした「防水革」も開発されており、これまでもご紹介してきました。(詳しくはこちらをご覧ください。)
そうすると皆様の中には、疑問を持たれる方もいらっしゃるのではないでしょうか?
「はて? 一体どうやって防水性があるのかが判るのでしょうか?」「はて? 防水性の試験ってどんな方法で行っているのでしょうか?」などと。
今回は、革の防水性を計る検査についてご紹介したいと思います。
防水性を計る試験として「吸水率」を計る試験を行います。
試験方法は、革の小片を30分間、水に浸します。
そして、水に浸す前と浸した後の革の質量(重さ)を比較します。
これにより、「水に浸すことで、どれだけの量の水を吸い込んだのか」=「水の吸い込みやすさ」を計っています。
これは、日本工業規格(JIS)の規格として制定されており、JIS K 6557-6の静的吸水性検査 質量法に則った方法です。
この結果、山陽では社内水準として、吸水率が30%以下の革について「防水性が高い」と判断しています。つまり防水性がある革の定義の一つとして、革の重さの30%以下の量の水しか含まないととらえています。
(防水加工を行っていない革については、100%を超える場合があります。)
革に含侵する水の量が少なければ少ないほど、乾く速度は短く、また乾くときのシミや色ムラが出にくくなります。
先ほどの吸水率試験は、革を動かさない状態でどれだけ吸水するのかを計りましたが、革製品は絶えず屈曲するなど動かした状態で使われるものも多いです。例えば靴などですね。
そこで、革を動かした状態での試験である動的防水試験を行う場合があります。
その時にはペネトロメーターと呼ばれる測定器に試験用の革を取り付けて、水平往復運動を行います。この状態で革表面(銀面)の一部が水に浸されているのですが、水が浸透し裏側(床面)が濡れるまでの時間で防水性を判定します。
もう一つの水への耐性として「撥水性」が挙げられると思います。
先ほどの吸水性とは違い、表面の水の弾きやすさと考えて頂くと良いと思います。
この検査方法は、約20センチ四方の革を器具に取り付け、スプレーノズルで30秒程度、水をかけます。その後、どれだけ水分が残っているかを目視で確認します。
100%:水分が全く残っていない ~ 0%:革全体が水で浸潤している までを品質管理担当の技術員が確認・判断します。山陽では、70%以上において撥水性があるとしています。
このように、革の防水性を一定の尺度で計り、確認・開発を行っています。
また革によっては、上記以外の方法も行いながら皆様のご要望に応じた防水性を持った革を作ります。
本日は、ここまで。
また次回に。
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