山陽Letter
“本物” について考えてみる ~本革と言われるのはなぜ?
革の世界
前回に引き続きヌメ革、特に本ヌメ革の魅力についてご説明して行きたいと思います。
今回は、革の経年変化についてお話します。
よく革の魅力の1、2番目に上がるものに「経年変化」というものがあります。時間が立つとベージュ色からアメ色に変化するというものです。これを「革が育つ」と表現する方もいらっしゃいます。(実際には成長活動があるわけではないので、育つという表現は正しくないのかもしれませんが、色が濃くなりツヤが増すという現象にはピッタリの言葉だと個人的に思います。)
それでは、なぜ革はアメ色に変化するのでしょうか?
これは革をなめす時に使われている「タンニン(渋)」と大きく関係しています。
「タンニン」は日光の紫外線に当たると、化学変化を起こして色が濃くなるという性質があります。これが経年変化と呼ばれる現象の正体です。
ちなみに人間も日光に当たっていると皮膚の色が濃くなりますが、これは皮膚組織の中にある「メラニン色素」が日光(紫外線)から防御するために色を濃くしています。よく似ていますが、その原理は異なります。しかし人間の日焼けも英語では「tanning」と言います。そう、「タンニン」も「日焼け」も同じ語源を持つ英単語なのです。(転じて革をなめす事も「tanning」と呼ばれています。)
またヌメ革に日光を当てることで、内部に含まれる油分が外側に出てきます。これにより表面がツヤツヤと光沢が現れて来ますので、日常的に使われて日光にもあたっている革製品は光沢感のあるアメ色になって行きます。
(※時間が立つと革の内部の油分が抜けて来てしまいますので、適時クリームやワックス・オイルなどで油分を補ってあげる必要があります。)
このような状態になると「自分だけのモノ」に育っていっていますので、愛着もわいてくることでしょう。
このような「経年変化」を最も楽しむことが出来る革が、まさにヌメ革なのです。
特にタンニンがゆっくり、しっかりと時間を掛けてピット槽で浸透させた「本ヌメ革」は、ムラが出にくく自然な経年変化を楽しめます。(前回もお話ししましたが、本ヌメ革にはドラムで鞣されたヌメ革に比べて多くのタンニンが染み込んでいます。)
みなさんも本ヌメ革製品で育つ革の魅力を実感して頂ければと思います。
本日はここまで。
また次回に。
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