山陽Letter
【山陽レザー】#006 アーマー(グローブひも用革) ~「切れない革」を目指して
革の世界
こんにちは。今回からシリーズで、本ヌメ革の魅力をお伝えしたいと思います。
以前の読み物『今さら聞けない「ヌメ革」って何?』で、ヌメ革とくに本ヌメ革とはどういったものなのかをご紹介しました。(まだご覧になっていない方は、こちらからご覧ください。)
その中で、ヌメ革は「植物のタンニン(渋)」を使って鞣された革である事、そしてピット槽という大きなプールのような「おけ」に長期間(1ヵ月以上)漬け込み鞣された革は本ヌメ革と呼ばれている事をお話ししました。
ピット槽で鞣された本ヌメ革には、クロムで鞣された革やドラムで鞣されたタンニン革とは違った魅力にあふれています。
今回ご紹介するのは、「輝くコバ」です。
革製品を製作されている企業・職人の方やレザークラフトをされたことがある方はピンとくるかもしれませんが、布と違い革は断面から「ほつれる」という事が無いため断面(コバ)は「切りっ放し」の状態で使われることが多くあります。
その際に断面を美しく見せるために、コバ用塗料を塗ることも多いのですが、ヌメ革の場合には断面を擦り、圧力と熱をかけることで繊維を引き締めて美しく処理することが出来ます。(これをコバ磨きと呼んでいます。)
コバ磨きの際には、コバ部分にコバ磨き剤(※)を少量塗り、木の棒などで擦ります。(※市販されている製品では、「トコノール」や「CMC」というものがあります。)
実はこのコバ磨き、革製品の品質を左右する大切なファクターなのです。
高級な革製品、職人の方が苦心して作られる革製品は、しっかりとしたコバ処理がなされています。(「神は細部に宿る」といったところでしょうか。)
ちなみにコバ磨きは、とても労力と時間がかかる大変な作業です。しかし本ヌメ革の場合には、ドラムで鞣されたヌメ革に比べて短時間できれいに仕上げる事ができます。
その理由は「①革の網状層(コラーゲン層)の組織が保たれたまま鞣されている」「②タンニンが多く含まれている」ためです。
ピット槽で鞣された本ヌメ革はタンニン液に約1か月漬けてタンニンを革に浸透させます。タンニン液の攪拌も兼ねてゆっくりと10センチ程度揺らすというアクションは行いますが、それ以上の負荷は与えません。
対してドラムで鞣されるヌメ革は、革とタンニン液をドラムに入れてかき混ぜます。ドラム式洗濯機での様子を思い浮かべてい頂くと良いかもしれません。鞣しは1~2日間と短い時間で完了するのですが、強いアクションをかけることになるため革の網状層の組織がピット槽に比べるとほぐれてしまいます。
コバを整えるというのは断面に現れている革の繊維に圧力・摩擦熱をかけて、もう一度固めていくという作業です。そこで必要なのは、革の繊維がしっかりと保たれている事とタンニンが多く含まれている事です。本ヌメ革は、この両方を備えているため短い作業時間で「ピカッと輝くコバ」に仕上げることができます。
(個人的な体験談ですが、私自身も本ヌメ革では一辺を5~10分程度磨くことで輝くコバに仕上げることができています。)
ぜひ山陽の本ヌメ革でご体験頂ければ幸いです。
本日はここまで。
ではまた次回に。
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