山陽Letter
【山陽レザー】#006 アーマー(グローブひも用革) ~「切れない革」を目指して
革の世界
山陽の読み物(NOTE)をご覧いただきましてありがとうございます。
このコーナーでは、数々の「革についてのお話」を取り上げていますが、「いったい革の寿命はどれくらいなのだろう」と疑問を持ちました。
今回は、そんな話題に触れてみたいと思います。
「革づくり」の歴史をひもとくと、紀元前3000年前の古代メソポタミア文明や紀元前2000年前の古代エジプト文明の頃には、植物の汁で皮をなめす方法が使われはじめていたという記述を見つけることができ、文明の起源にまでさかのぼる事になります。
また日本に目を移すと最古の革は、大和時代(593-710)の「亜久利加波(あくりかわ)」と呼ばれるものですが、これは皮についた脂(あぶら)を取り除いただけの毛皮だったようです。
その後、奈良時代(710-794)になって中国や朝鮮から帰化した革づくり職人(革工人)から「なめし技術」が伝えられ作られるようになりましたので、本格的な革が日本で作られはじめたのは、この頃からと言えるかもしれません。
※古代の革は、鹿革がもっとも愛用されていました。(それ以外にもカモシカ、イノシシ、熊などの野生の動物の原皮が使われていました。)なめし技術が伝えられるようになり、徐々に「牛革」や「馬革」など現代の私たちにもなじみのある原皮が使われるようになっていきました。
現在、この頃に作られた革製品(革を使った「武具」「鞍」「履物」「帯」といったもの)は、日本が誇る宝物庫である正倉院に保管されいます。
※正倉院のWEBサイトからそれらの写真を見ることが出来ますので、ご興味のある方はアクセスしてみてください。
【 https://shosoin.kunaicho.go.jp/ から「正倉院宝物検索」タブから調べることが出来ます。】
これらの革製品は約1,300年の年月を経て、今に残っている事になります。
まさに時を超えたTimeless Beautyを伝えてくれる逸品の数々ですね。
また私たち山陽で残っている「古い革」を調べてみました。
それがこれらの写真の革です。
▼下の写真は1963年製の山陽レザーです。金具や箔押し部分は色落ちしていますが、革はきれいな状態です。
▼下の写真は1968年製の山陽レザーです。革の床面(裏面)もきれいな状態です。
▼1958年製の山陽レザーも残っていました。
太平洋戦争時の空襲の被害にあった等の理由から、戦前よりも前の革を見つけることはできませんでしたが、今からさかのぼる事、半世紀前の1950、1960年代の革を発見することが出来ました。
表面(銀面)は、ひび割れや組織分解する事もなく、裏面(床面)もやや色の変化はあるものの劣化という事はなく、作られた当時の様子を十分に感じることが出来ます。
一般的に革の寿命は、5~10年以上と言われることが多いのですが、さらに長い50年以上前の革も身近に残っていました。
今回、改めて天然皮革がロング・ライフな素材であることを感じることが出来ました。
このような優れた素材である天然素材の事を多くの人に知って頂き、皆さんの身近にも革製品を置いて頂けましたらと思います。
それでは、本日はここまで
また次回に。
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