株式会社山陽

 

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社長に聞く Vol.3 ~“レザー”を取り巻く環境②~

山陽の読み物をお読みいただきましてありがとうございます。
3回にかけて、シリーズ「社長に聞く」のVol.3「“レザー”を取り巻く環境」をお送りしています。

前回の合成皮革、人工皮革そして新たな素材についてのお話はいかがでしたでしょうか。
(まだご覧になられていない方は、こちらからお読み頂けます。)

「“レザー”を取り巻く環境」の2回目をお楽しみください。


革および多くの新素材がある現在は、それ以前とどのような変化が生じたと思いますか。

 

前回お話ししましたように20世紀の半ば以降、革以外の新素材が私たちの身の回りに急速に取り入れられてきました。特に1970年以降は人工皮革の技術が進歩し、1980年代以降はこれまでは本革でしか作られていなかった「靴」や「カバン」(ランドセルや学生かばんも含めて)が人工皮革で作られるようになりました。価格についても本革よりも安価で、歩留まりも良く、安定した生産体制を組むことが出来ました。しかし本革の製品が一般的であった時期を知っている世代の方にとっては、合成皮革や人工皮革で出来た製品を見て使ってみるうちに耐久性や質感は本革に及ばないという気持ちや、本革で作られたものへの愛着や憧れといったものがありました。つまり革の最大の魅力である「長く使える」「使っていくうちに味が出る(経年変化)」といった点です。そのため2000年頃までは、「本革の物は別格である」「高価であっても大切な物は本革製の物を選ぶ」という風潮がありました。しかし、2000年以降に生まれたいわゆるZ世代と言われる若い方は、合成皮革や人工皮革、加えて○○レザーというものが当たり前に存在する時代に生まれています。まさに新しい素材から生み出されるファッショナブルな物に溢れた環境でした。しかも、生まれ育った社会は、日本国内であれば長きにわたり続いたデフレ経済下であり、低価格重視、消費サイクルの短期化が進んだ時代。いかに安く良い物を選ぶかという社会背景の中で、本革であることの価値が薄らいでしまった感は否めません。

結果として、元々、本革を模して作られて来た新素材と同じ感覚、同じライン上で見られるようになったと言えると感じています。

本革(レザー)が多くの選択肢の中の一つとなった、そういう事なのですね。

はい、そうです。私たち本革を製造しているタンナーからすると誠に残念な事ですが、そういう事になります。
さらに言えば、Z世代と言われる若い方は、そもそも革製品を選択する機会が少なくなっているはずで、そもそも本革について知らない方が多いのではないでしょうか。その観点からすると、若い世代には選択肢にすら本革は入っていないのかもしれません。
本来「革」は、動物の皮を鞣して作られた素材である「本革」のみを指す言葉だったはずが、今はそれを模しているものにも拡大的に使われている点には、正直なところ微妙な感覚を持っています。
しかし裏を返せば、私たち人間はやはり「革」というものを欲しており、憧れを持っているという気持ちの表れではないか、とも思っています。
それは、革に馴染みのない、社会貢献や環境問題などへの意識が高い若い世代も、本革はサステナブル素材であることや素材としての魅力・価値を知れば同じではないでしょうか。
であれば、私たちタンナーにもまだまだ出来ることがあるという気持ちが湧いてきます。

次回は、そういった私たちタンナーの思いについてお話しできればと考えています。
次もぜひご覧頂ければと思います。


いかがでしたでしょうか。
次回は、「社長に聞く Vol.2 ~~タンナーの環境への取り組み③」をお届けする予定です。
ぜひこちらもご覧ください。

では、また次回に。

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