山陽Letter
【山陽レザー】#006 アーマー(グローブひも用革) ~「切れない革」を目指して
山陽Letter
山陽の読み物(NOTE)をお読みいただきありがとうございます。
前回から社長に聞く Vol.5「LWG(Leather Working Group)」をシリーズでお送りしています。
今回はその3回目として当社、山陽がLWGの環境認証取得を目指した背景について聞いていきたいと思います。
また、今回は山陽で認証取得に際してプロジェクトのリーダーを務められた常務取締役の塩田和也にも登場して頂きました。
それでは、お楽しみください。
【戸田社長】
山陽で環境認証を意識し始めたのは、コロナショックが始まる前の2018年頃からでした。その頃も環境保全を意識した取り組みは行っていたのですが、今後はこれまで以上に加速すると感じていました。実際に準備を始めたのは2019年頃からでした。
塩田常務に相談したところ、塩田常務でも必要性を感じており、導入に向けたプロジェクトリーダーをお願いしました。
【塩田常務】
2019年時点では、まだ国内でLWGを取った会社はなかったのですが、一部のタンナーでは取得への意識はあったと思います。
私もこれからの皮革生産を考えて環境に良い革づくりを行っているという認証を取ることは企業としての在り方、目的を改めて考えるきっかけにもなり、加えて世界を視野に入れると日本の革(Japanese Leather)の良さを伝える為にもぜひ必要な物だと思いました。
【戸田社長】
たしかに前例がなく、この認証が日本においてスタンダードなものになるのかは、まだ未知数な状況ではありました。
しかし、海外とくにヨーロッパ圏やアジア圏で取得が進んでいたことや、海外の有名なハイブランドやスポーツメーカー、シューズメーカーなどがLWGメンバーになっている状況を踏まえて、今後皮革産業の大きな潮流になるであろうという判断をしました。
【塩田常務】
プロジェクトを進めていくにあたっては、とにかく情報が少ない事で苦労しました。
資料は全て英語の物で、読解するのにも苦労しました。
それに資料ベース以上の内容を確認するには、LWGの協会に直接問い合わせる必要があるのですが、英語での会話が必要となりました。
とにかく国内で相談できる方が極めて少なかったのが大変でしたね。
【戸田社長】
この点について、プロジェクトリーダーである塩田常務に語って頂きましょう。
【塩田常務】
プロジェクトは2019年に発足したのですが、開始してすぐにコロナショックに襲われてしまいました。皆様の会社の多くがそうだったと思いますが、会社全体が非常事態の動きを取らざるを得ない状況に陥ってしまいました。
受注も一番酷いときで50%程度にまで落ち込み、緊急事態宣言中は稼働も大きく落ちました。
当然、新たな取り組みについては、いったん中断せざるを得ませんでした。
2021年後半あたりからようやく再開できたのですが、社内の状況も元通りとは言えず、売り上げの回復とLWGの認証取得という2足のワラジを履いたような状態でした。
とはいえ2022年の後半、2023年の1~3月は、全社を挙げて取得に取り組みました。
特に工場内の安全対策(通路と作業場所を区別する線引き、5Sの徹底、安全装置の総点検)は社員一丸となって取り組めたことは良かったと思います。
【塩田常務】
やはり一番は浄水施設です。当社は、会社の敷地内に当社独自の浄水設備を備え、一般排水と同様の水質に整えてから、社外に出しています。
今回を機に、浄水場の掘削工事を入れて拡充したのち、設備を最新のものに入れ替えました。これにより常時、LWG環境認証の基準値(※)よりも下回った状態に保つことが出来ています。
そのほかでは、工場内の安全装置を整備、新設しました。これについても、大きな設備投資でした。
(※)当社では測定が不要とされている項目は除く
【戸田社長】
今、塩田常務が話した通りです。会社としては、かなり勇気がいる設備投資でしたね。(笑)
【塩田常務】
取得によって、社内での特に工場での安全や整理整頓への社員意識が変わりましたね。
環境を整えることは、社内のブラッシュアップにつながることを実感しました。また2030年に向けた環境への取り組み目標が当社にはあるのですが、それに向けても具体的な方略への意識が強くなったような気がします。例えば禁止薬品や水質保全に対する意識が社員全体で鋭敏になったような気がします。
【戸田社長】
今後の展望ですが、やはり山陽の革を多くのお客様、エンドユーザー様に使ってもらいたいですね。LWG環境認証をきっかけに少しでも山陽の事、山陽レザーの事を知って頂きたい。
また、世界の品質と並ぶことが明確に示すことが出来ます。グローバルな市場でJapan Leatherを認識してもらうような動きにつながればと思っています。
いかがでしたでしょうか。
次回は、最終回として「日本の革とLWG」と題してお送りします。
では、また次回に。
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