株式会社山陽

 

NOTE

安全、安心な革を目指して

こんにちは。

近年、「脱クロム」「省クロム」といった言葉が聞かれるようになりました。
これは重金属であるクロムが全て有害という印象を与えがちなのですが、事実はそうではないようです。今回はその点を考えてみたいと思います。

そもそもクロム(chromium)とは、どのようなモノなのでしょうか。原子番号24の元素で、銀白色の金属です。光沢があり、硬く、耐食性があるからクロムメッキとしての広く使われています。ステンレス鋼の製造にもクロムは使われています。(約10%を含有)
またクロムは人間にとって微量必須元素で、1日に50–200 μgの摂取が必要とされています。(クロムを多く含む食品は、ビール酵母、レバー、エビ、未精製の穀類、豆類、キノコ類、黒胡椒など)<Wikipediaより>

とここまでは、クロムは人間に有害なものという印象はありません。
実際に自然界の土の中にはクロム単体または3価クロムの形で広く存在しています。
しかし、クロムの一形態である6価クロムについては、人体に有害であるとされ注意が必要です。
近年、クロムが問題視されて来たのはこの6価クロムの使用についてでした。

さて私たち皮革業界で最も多く使用されている鞣し方法は、クロム鞣しです。
クロム鞣しが本格的に進むようになったのは1893年アメリカのデニーズ氏により「一浴法」という鞣し方法が発明されて以降と言われています。当初は6価クロムを皮革工場で還元して使用していましたが、現在では3価クロムを原料とした粉末クロムなめし剤を使用するようになっており、皮革工場で6価クロムを使用することは無くなっています。
つまり皮革のクロム鞣しに使われるのは無害な3価クロムであり、有害性がある6価クロムは使用されていません。

これらの点を踏まえた上で、より安全な皮革を提供するために、私たちは更なる環境保全に取り組んでいます。それは「SDGs達成への取り組み」です。
SDGs項目の内、現段階で皮革企業が優先的に取り組む課題9項目をピックアップし、達成に向けた活動を推進しています。
その中で、クロムの使用を低減するという目標も掲げています。
3価クロム自体に有害性は無いのですが、ある条件下にて焼却されることで6価クロムが発生する可能性があることが報告されています。そこで山陽では、省クロム鞣し革の製造販売(2020年より)、クロムを使わない鞣し革(フルベジタブルタンニン鞣し、白革鞣し)の販売促進も進めています。

革は耐久性がある美しい素材です。その革をより安全に安心して多くの方にお使い頂けるように日々改善に取り組んでいます。

それでは、本日はここまで。

また次回に。

 

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