山陽Letter
“本物” について考えてみる ~本革と言われるのはなぜ?
革の世界
以前に「革に色を」という記事で革に色をつける手法として、染料と顔料についてお話ししました。(まだ読まれていない方は、よろしければこちらをご覧ください。)
革に色を付けるとプロセスはとても奥が深く、もう少し詳しくお話ししていこうと思います。
「アニリン染め」や「アニリン染料」という言葉をお聞きになったことがあるでしょうか?
革の世界でも、少し知識が進んでくるとよく耳にされる用語の一つだと思います。
私も初めて聞いたときには「どういうもの?」「とても特殊なもの?」と疑問に思いました。
まずアニリンという物質ですが、独特な臭いをもつ無色油状液体で「アミノベンゼン」「フェニルアミン」といった名称でも呼ばれています。(高校の化学の授業を思い出しますね。)このアニリンは、単独の素材として用いられることは少なく、染料、ゴムなどの化学製品、農薬や医薬品などを製造する際の中間物質として取り扱われているようです。
さて皮革の世界でも使われている「アニリン染料」との関連を見てみましょう。
伝統的な染料は、植物などの天然の素材を使用した天然染料です。それに対して近年化学物質による染料が開発され合成染料(※)というものが作られるようになりました。合成染料は、19世紀の中頃にイギリス、フランス、ドイツなどで発明されたのですが、その際の主要原料がアニリンでした。そこでアニリンを使用した合成染料を「アニリン染料」と呼んでいたようです。しかしその後、化学染料の全般が「アニリン染料」と呼ばれるようになっています。
つまりアニリン染料は天然染料ではない合成染料、そのアニリン染料で染めた革がアニリン染めの革です。(意外とシンプルですね。)
※現在、使われている染料は安全性に配慮されたものになっています。発がん性が認められた「禁止アゾ染料」については、使用が禁止されています。当社においても「禁止アゾ染料」は使用しておりません。
山陽でも革の表面を合成染料で仕上げた革を「アニリン仕上げ」と呼んでいます。
染料はとても粒子が小さく水(または溶液)に混ざりあって、革の内部にも浸透していきます。そのために革の銀面(表面)の風合いを生かしつつ目的の色に染めることができます。とても透明感があります。(山陽レザーの仕上げについてはこちらへ)
※色落ち等を防ぐために多くの場合、トップコートという透明な液を塗布します。
今回は、「アニリン仕上げ」について取り上げました。次回は、「セミアニリン」についてお話しできればと思います。
ではまた次回に。
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