株式会社山陽

 

NOTE

『雪舟 −Sesshu− 誕生秘話』<後編>(第106回東京レザーフェア 極めのいち素材 第1位受賞)

こんにちは。山陽の読み物(NOTE)をご覧いただきましてありがとうございます。

前回に引続き第106回 東京レザーフェアで行われました革のコンテスト「極めのいち素材」で第1位に選んでいただきました『雪舟 –Sesshu−』の誕生秘話の後編をお届けします。
(前編をお読みでない方は、こちらをご覧ください)

今回は、「雪舟」のサステナブルな側面です。
この革を作るにあたってHさんが選択されたのは、通常では革製品になりにくい傷や痛みの多い原皮から出来た素材を使うことでした。

これはタンナー(製革業者)が頭を悩ませている所なのですが、本革が動物の皮から出来ている以上、どうしても生きているときに負った傷や痛みによる影響は免れません。それは革そのものの強度などには影響は無いにせよ、外見から敬遠され、「低級」と位置づけられるものとなります。
そして、それらは一定の割合で必ず発生します。

タンナーにとって、こういった革を如何に「価値あるもの」にしていくのかという挑戦が続いています。

そういった背景がある中、生体時の傷と今回のムラ染め技術が、相乗効果を発揮するのではないかというのが、実はもう一つの「雪舟」のコンセプトでした。

実際に製作してみると、傷や痛みの部分には染料が濃く入るという傾向があり、ムラ染めの効果と相まって革の個性を活かす要素になりました。

また、第107回 東京レザーフェアにて、「雪舟」とともに展示した、オリジナルの雪舟トートバッグにもそういった要素を付加しました。
実はこのバッグに使われた革「雪舟」には、生体時の傷・痛みに加えて革の厚さ調整の加工時についてしまった傷もある革を敢えて使用しました。水平方向に走っているラインがその跡です。
通常であれば、こういった革は表面を覆うような塗装加工をしないと使われないものなのですが、「これも味!」と思わせてくれるのが、この革の魅力かもしれません。

ちなみにこちらのトートバッグは、ジャパンレザーアワードにて2022年のバッグ部門ベストプロダクト賞、2013年のプロフェッショナル メンズバッグ部門を受賞された中野義夫さんに製作していただいたオリジナルバッグです。(中野義夫さんの受賞について、詳しくはこちらをご覧ください)
製作をお願いするにあたって、中野さんの感性で革の個性を活かして生かして欲しい!というリクエストに見事に答えて頂いた作品です。
第107回 東京レザーフェアにお越しの際にはぜひこちらのバッグもご覧いただけましたら大変うれしいです。


内装にもカーフ革を使ったこだわりのトートバッグです

 

実は、雪舟の開発者であるHさんは2024年6月をもって勇退されます。
その最後の作品として、第107回 極めのいち素材 に出品された革が以下の「市川 –翠(SUI)–」です。

第107回東京レザーフェアにお越しの際には、ぜひこちらもご覧ください。

それでは、本日はここまで。

また次回に。

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