山陽Letter
靴磨き選手権大会 ~革靴にかける熱き戦い
革の世界
今回は、山陽が取り組む第3のなめし革、「白革」についてお話ししたいと思います。
白革は、山陽がある兵庫県姫路市で古くから行われていた姫路白鞣し革に着想を得て、独自の製法で作った革です。
白鞣しは、薬品を使わずに、水、塩、菜種油のみで皮をなめす手法です。平安時代に記された「延期式」(905~927年に編纂された平安中期の法典)にも類似の革製造方法が記されている伝統的な革なめしの技法です。色は乳白色で柔軟で強く、武具・馬具から書類入れや鞄・靴など生活用品にも使われてきました。近代的な革なめし技法の発明、発展により、一時その技法は消滅の危機にありましたが、姫路市の地域有志の方々の努力により、その技法は復活し現在でも伝統的な方法で製造が行われています。
山陽では、姫路の皮革産業を受け継いでこられた先達のなめし技法に敬意を払いつつ、伝統的な姫路白鞣し革をオマージュして、山陽独自の技法で「白革」を作りました。
特殊な鞣し剤を用いており、耐久性や伸縮性、柔軟性に優れています。
また何よりこだわったのが「純白(ピュアホワイト)」です。
何も着色されていない白革は、「純白」色です。
一般的ななめし方法であるクロムなめしでは、クロム鞣剤の「青色」によりウェットブルーと呼ばれる水色の革となります。その為、青色の反対色にあたる「黄色」「オレンジ色」はその影響で少し濁ってしまい、ピュアな色、特に淡いパステル系の黄色・オレンジ色の再現は難しいと言った課題がありました。(表面を完全に覆う「顔料」による着色では可能でしたが、革の表面<銀面>を生かす「染料」による着色では課題でした。)
白革は、ベースが美しい白色であるため、これまで課題であった淡い黄色・オレンジ色といったパステルカラーを表現することが可能になりました。
先日開催されました「第103回 東京レザーフェア」においても当社ブースにて展示し、ご来場頂きました方々から好評のお言葉も頂きました。
皆さんがイメージする色を新しい技法で表現する「山陽の白革」を、ぜひ多くの革製品にご使用頂ければと思っています。
本日は、ここまで。
また次回に。
山陽の白革にご興味を持っていただきました方は、お問合せページからご連絡ください。「こんな革を探しています」といったご相談からでも問題ありません。お待ちしています。
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