山陽Letter
【山陽レザー】#006 アーマー(グローブひも用革) ~「切れない革」を目指して
革製品について
前回、「革製品のお手入れ~防水スプレー編~」で革製品を雨から守る「防水(撥水)」のお話しをしました。
その際には、防水と撥水について明確に区別せずご説明していました。
今回は、この「防水」と「撥水」の違いについてご紹介したいと思います。
私たちは革を水分から守るために以下のような加工を行っています。
防水とは、「水を侵入させない、水の浸透を防ぐ」加工です。
靴を例にすると、靴の表面は濡れた状態(色が濃くなったりしている状態)になっていても内部への浸透は防がれて、革から内部に水が染み込むような状態ではないというものです。(※)
そのため、防水性を確かめるために水の入った容器に革の一部を浸し、革への水分の侵入しにくさを確かめる検査が行われます。
<動的防水検査:伸縮運動させた革の一部を水に浸し、水分の侵入を確かめる検査>
(※)防水革を使った靴でも縫製部分などから水の侵入があるため、縫製部分をシーリングしたり、革の内側(表革と足との間の部分)に防水性のあるフィルムや生地を使う等の防水性を高める工夫が施されています。
撥水とは、「水をはじく」加工です。
傘やレインコートに水をかけた時に、表面の水分が水玉になっている状態を思い浮かべて頂くとわかりやすいと思います。
靴などでも撥水加工を施した革では、表面に水玉が出来て水分は侵入しないようになっています。
これは、表面(銀面や起毛革の表面繊維)に撥水剤を塗布して、水分の侵入を防ぐという効果を出しています。
また撥水剤は全体を覆うのではなく、繊維や組織の表面を細かくコーティングして隙間を残すようになっている為、空気や水蒸気は通過できるという特徴もあります。
このように2つの手法で、革の大敵である雨から守る対策を行っています。
また「防水は内部への水の浸透を防ぐもの」、「撥水は表面の水分をはじくもの」という2つの機能を掛け合わせた製品も作られています。例えば表面の撥水加工を行いながら、折り部分やキズなどからの水の侵入も防ぐように防水加工を施した革も当社では製造しています。
皆さんの身の回りにある革製品の「防水」「撥水」加工や対策について知ることで綺麗に永く使って頂くことができます。
本日はここまで。
また次回に。
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