山陽Letter
【山陽レザー】#006 アーマー(グローブひも用革) ~「切れない革」を目指して
革製品について
6月になり、梅雨入りという季節になりました。
先日、革製品のお手入れについて「基本編」「ケア製品編」で、日々の基本的な注意点やケア製品(クリームやオイル)についてご説明していきましたが、今回は雨の多い季節に必要となるアイテム「防水スプレー」についてお話ししたいと思います。
(まだお読みになっていない方は、よろしければこちら〔革製品のお手入れ~基礎編、革製品のお手入れ~ケア製品編〕をご覧ください。)
梅雨の時期、降り出した雨に革製の靴やバッグが濡れてしまって、雨染みや色落ちしてしまった、という経験をされた方も多いのではないでしょうか。
残念ながら革製品において、雨は大敵です。お気に入りの一品にひと手間を取り入れて、雨から守ってあげましょう。
雨から守る方法としてお薦めするのが、「防水スプレー」です。
防水スプレーは表面に防水剤を塗布し、簡単に撥水処理ができる製品で、革以外の衣類や雨具(傘・レインコート)などに使われている方も多いかと思います。
防水スプレーを革製品に使用するという事に抵抗のある方もいるかもしれませんが、革にも使うことができる製品を適切に使えば問題ありません。(私も抵抗がありましたが、注意点を理解してから使うようになりました。)
防水スプレーの防水(撥水)成分には、大きく以下の2つの物があります。
1.シリコン系樹脂
シリコン系樹脂の防水スプレーは、塗布されたものを丸ごとバリアするようなイメージです。対象物の全体を覆い隠す形になるため、防水性は高いのですが、製品によっては透湿性が損なわれます。(透湿性とは、水滴になる前の蒸気状態の水分を外に逃がす性質です。透湿性が損なわれると、中は蒸れたような状態になります。)そのため、傘や雨靴、マリンスポーツウエア等には適しています。
現在、透湿性を保つように改良されたシリコン系の防水剤の開発が進められており、当社の防水革の製造にもシリコン系の防水剤が使用されるようになってきています。しかし現時点では革に使用できると明記されていない防水スプレーの使用は控えた方が良いです。(透湿性が保たれていない場合、革表面の呼吸が出来なくなってしまいます。)
2.フッ素系樹脂
フッ素系樹脂は繊維を細かくコーティングすることで水を弾きます。適度に透湿性もあるため、革の呼吸を損なわず革製品にも使えます。油も弾き、汚れを防ぐ効果もあります。
フッ素系樹脂の防水スプレーは革に適していると言えます。
ただし、昨今フッ素系化合物の環境および人体への影響を配慮し、使用しないという流れ(フッ素フリー)により、シリコン系樹脂などへの移行に向けた開発も進められています。すでに防水革や防水生地の製造には、シリコン系の防水剤が使われてはじめています。
防水スプレーはこれらの成分を石油系溶剤やアルコール系溶剤などで希釈して使われています。
大きな注意点なのですが、『アルコール系溶剤を使用した防水スプレーは絶対に使用しない』ようにしましょう。アルコール系溶剤を使用すると革の塗装を痛めてしまいます。
また防水スプレーは効果の高いケア製品ですが、より効果を発揮するには以下のような方法で上手に使ってください。
さて、これからの季節、雨が多く憂鬱な気分になる事もあると思いますが、しっかりと対策をして乗り切っていきましょう。
今度は、水に対する2つの対策である「防水」と「撥水」の違いについてお話しできればと思います。
それでは、本日はここまで。
また次回に。
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