株式会社山陽

 

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革に色を④ ~セミアニリン仕上げ~

前回はアニリン染めについてお話をしました。今回は「セミアニリン仕上げ」についてお話ししようと思います。

「アニリン染めの革=合成染料によって染められた革」である、つまり染料による着色であることをご説明しました。
染料によって着色し仕上げられた革は、銀面(表面)が生かされた透明感がある仕上がりになるのですが、革本来の風合いとともに「キズ」や「痛み」もそのまま出してしまいます。
その為、キズや痛みが多い、いわゆる等級の低い革には不向きな仕上です。(革の等級についてはこちらをご覧ください)
また以前に顔料による仕上げがあることもお話ししました。(詳しくは「革に色を②」をご覧ください。)
染料よりも粒子が大きい「顔料」では、表面の隠ぺい力や保護力が強くキズや痛みを隠してくれる効果はあるのですが、透明感が感じにくい硬い革になってしまうため、革らしさを表現したいという革製品には敬遠されることもあります。

「染料仕上げ」、「顔料仕上げ」それぞれの良い所を活かした革ができないかというところから生み出されたのが、「セミアニリン仕上げ」です。

セミアニリン仕上げでは、ベースコートと呼ばれる下塗りを少量の顔料を含む液(※)を塗布し、その上から染料で着色します。このことで革の表面のキズや痛みを隠しつつ透明感もある革に仕上げることができます。
(※)ご要望に応じて、顔料と染料の両方を含んだ液や通常よりも粒子の細かい顔料(マイクロ顔料)を含んだ液を使う場合もあります。
もちろん染料だけのアニリン仕上げに比べると革らしさを感じにくいのですが、顔料のみよりもグッと自然な感じになりますし、革製品に加工する際にもある程度均一にパーツとして使えるという利点もあります。
※色落ち等を防ぐために多くの場合トップコートという透明な液を塗布します。

現在、多くの革がこのセミアニリン仕上げを採用するようになっています。
革の美しさを可能な限り保ちながら、不要となってしまう革を減らしていく技術であると感じます。

本日はここまで。

ではまた次回に。

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