山陽Letter
【山陽レザー】#006 アーマー(グローブひも用革) ~「切れない革」を目指して
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みなさんの身近に「山陽レザー」では、当社の革が使われている商品をシリーズでご紹介しています。
今回は、「鞄」の産地で有名な兵庫県豊岡市の老舗鞄工房「株式会社 服部」さん(1885年創業)が、作られたオールレザーの「将棋駒」です。
地元の新聞やテレビでもご紹介されたので、もしかするとご存知の方いらっしゃるかもしれませんが、初めての方はぜひ知って頂ければと思います。
革というと、鞄や靴、革小物といったところが『定番』となるのですが、今回はとてもチャレンジングな商品「本格派将棋セット」です。
今回の企画にあたり社長の服部清隆さんが、最若手のカバン職人の高畑一桜さんをプロジェクトに巻き込んだことがスタートになったとのこと。お二人が偶然にも『将棋好き』だったことからレザーの将棋セットに決まったといいます。
完成までにかかった期間は約730日とのことで、2年もの間チャレンジし続けた職人魂に敬意を感じずにはおれません。
完成した将棋駒には、断面がきれいなレインボー柄に加工されたものもあります。これは革の「漉き」という、革を薄くする加工技術を駆使して革の厚みを将棋駒の形に整えて複数の革を重ね合わせたものです。「木にはない、革ならではのものづくりは出来ないか?」というアイデアから生み出されたそうです。通常、革の漉き加工は厚みを均等に平らに整えていく加工なのですが、将棋の駒は前部分が薄く後ろ部分が厚くなっている形状ですので、革の漉も斜めに行わなければなりません。この加工はとても細かな技術を要したのではないかとお察しします。また、革は断面を磨くことで光沢のある美しい「コバ」が出来るのですが、複数の革を重ね合わせれば重ねるほど難易度は増します。(コバ磨きに関してはこちらの記事〔本ヌメ革の魅力① ~コバは輝く~〕もご覧ください。)こちらの加工も大変苦労されたのではないかと思われます。
このようなチャレンジングな企画ですので、素材となる革についても並々ならぬコダワリを持たれている中、当社の本ヌメ革を選んで頂いたのは本当に光栄です。
以前から株式会社服部さんには、鞄の素材として山陽の革をお使い頂いていたのですが、今回の企画のお話を頂き、山陽でも若手営業マンが社内のベテラン技術者と調整・協力しご用意した革です。実際の現物も拝見させていただきましたが、ピット槽で鞣す植物タンニン革である『本ヌメ革』の魅力を十二分に引き出して頂いていることに感動を覚えます。
最後に今回作られた革の将棋駒の文字入れについてご紹介します。駒の文字入れは将棋の本場、山形県天童市の将来有望な若手将棋駒師の3名の方がご協力されています。本場の伝統技術が加わることで、より一層完成度が高まっています。
今回は、鞄の産地「豊岡市の革の加工技術」・将棋の本場「天童市の将棋駒の製作技術」・革の産地「姫路市の製革技術」を受け継ぐ若い力が合わさったMade in Japanのすばらしさを感じることが出来ました。
今後もこのような未来につながる革製品に、革をつくるタンナー(製革業者)としてご協力できればと願っています。
■革の将棋セットの詳しい情報につきましては、以下のWEBサイトをご覧ください。
https://fujimaki-select.com/item/814_0001QX.html
■企画・製作をされました株式会社 服部さんのWEBサイトはこちらです。
https://www.hattori-co.com/
今回は、ここまで。
それではまた次回に。
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