山陽Letter
“本物” について考えてみる ~本革と言われるのはなぜ?
革の世界
前回は、原皮から鞣しという工程を経るまでの間の革の厚みの変化をお話ししました。
まだお読みになられていない方は、ぜひ『革の厚さを調整する Vo.3 ~革の厚みはどれくらい? <前編>~』をご覧ください。
さてここからは、各製品になる場合の革の厚みについてお話を進めていきましょう。
私たちタンナー(製革業者)の工程としては、鞣しあがりの革(クロム鞣しであれば「ウェットブルー」、タンニン鞣しであれば「キナリ革」)からお客様のオーダーに応じて調整する工程を経た後の状態です。(『革の厚さを調整する Vo.1 ~革の厚さはどうやって整えているの?~』での「シェービング」「裏漉き」を経た状態です。)
紳士靴のアッパー部分に使われる甲革については、1.5mm程度の物が良く使われます。
もちろん裏に別の素材をあてたりした場合は、その分薄くなったりするのですが、一つの目安です。
代表的なビジネスバッグである程度しっかりしたものであれば、1.5~1.8mm程度の革が使われることが多いようです。その他、トートバッグなども堅牢な物はこれくらいの厚みを取っている場合があります。
しかし、柔らかく作るバッグであれば、1mmを前後くらいに調整する事も多くあります。
1枚ものの革を使ったベルトであれば、3~4mmの厚みの物が使われます。
他の製品に比べてとても厚くしっかりした革ですね。
その他にも革製品によって、適正に厚みを調整されて皆様の身の回りの革製品は作られています。
最後に革の厚さの範囲をご紹介して終わりましょう。
最も薄く使われる場合は、0.3mm程度ではないでしょうか。
裏地に使う場合や木製のもの貼り付ける場合などはこれくらいが使われます。
※もしこれ以上薄くなってしまうと、強度が保てなくなります。
また最も厚い革は、6mm程度です。
こちらはヌメ革のキナリの状態(鞣しあがった直後の状態)で稀に発生します。
高級な革靴のソール部分などにはこちらのような厚い革が使われます。
このように革素材や革製品を扱う方々にとっては、革の厚さの調整はとても重要でシビアなものです。
皆さんの身の回りの革製品もこのような厳しい調整の元に届いています。
いかがでしたでしょうか。
それでは、また次回に。
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