山陽Letter
【山陽レザー】#005 サバナオイル/サバナワックス
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山陽の読み物をお読みいただきましてありがとうございます。
今回から4回にかけて、シリーズ「社長に聞く」のVol.2をお送りします。
前回は、「レザーとサステナブルの関係」と題して革が持続可能な社会に通じている事をご紹介してきました。いかがでしたでしょうか。
Vol.2では、「タンナーの環境への取り組み」と題しまして、レザーとそれを作るタンナー(製革業者)、そして地球環境との関係について山陽の社長、戸田に聞いていきます。お楽しみください。
株式会社 山陽 代表取締役社長 戸田 健一(とだ けんいち) |
生年月日:1972年2月25日 出身:兵庫県姫路市 <略歴> 1995年 入社。 2015年 執行役員業務部長就任 2021年 代表取締役社長 就任 <役職> 日本皮革産業連合会 理事 日本タンナーズ協会 理事 姫路経営者協会 理事 |
このテーマをご説明する上で最初にお伝えしたいことは、私たち革をつくる者にとって人や地球環境への配慮は、最重要課題の一つとして捉えているということです。私たち山陽の行動憲章にも「当社員は、地球環境への負荷低減を考え、環境面への影響のより少ない選択をする」という言葉を上げており社員一丸となってその課題に取り組んでいます。
具体的には、2020年5月に策定しました当社の「SDGs達成への取り組み」に方針を上げています。(当WEBサイトのニュース/トピックスに掲載しています。こちらを御覧ください。)
その中でも以下のような内容を取り上げています。
各項目についてはこれから個別にお話していきましょう。
革を作る過程においては、化学的な物質を使うことは避けて通れません。
その例として、「鞣しに使うクロム」「染色に使う材料」「防水処理を行うフッ素」「表面コーティングなどを行うラッカー塗料」などが挙げられます。
これらをいかに環境に配慮した形にするのかという点になります。
まず私たちが作る革の8~9割を占めるクロム鞣し革についてです。クロムは皆さんもご存知のように重金属にあたるものです。また人体にも影響があるという記述を目にされた方も多いでしょう。しかしご説明したいのはクロムの全てが環境、人体に有害ではないということです。
クロムは、化学的組成の違いで「3価クロム」と「6価クロム」に分けられます。この内、有害であるとされている物質は「6価クロム」です。
それに対して「3価クロム」については、有害なものではなく、ごく自然に土に含まれているものです。私たちがクロム鞣しで使用しているのは、このような有害性の無い「3価クロム」です。
また私たちは通常よりもクロムの使用量を低減した省クロム鞣しを行っています。クロム鞣し革に必要とされる強度とクロムの量について自社内でアセスメントを実施し、必要十分な使用量としました。その結果、省クロムにつながっています。
革に色を付けるには染料を用いていますが、この点についても配慮を行っています。具体的には「禁止アゾ染料」を含有しない生産です。
染料や顔料にはアゾ結合という組成を持つアゾ色素が広く使用されています。この結合が切断されるとアミンという物質になります。その中には発がん性を有するまたは疑われるものがあります。それらは特定芳香族アミンと呼ばれ、24種類が規制対象となっています。
具体的には、2016年4月以降、「有害物質を含有する家庭用品の規制に関する法律」が改訂により、これら24種類を含む革製品は販売が禁止されています。もちろん当社においても生産していません。
革の弱点の一つである「水」。これに対応するためにこれまで様々なタンナーが「防水革」を開発してきました。その結果、最も適しているとされた物質が「フッ素」です。フッ素は高い防水性を持ちながら、透湿性にも優れた物質です。革の利点の一つとして「呼吸する」ということがあります。例えば革で作られた靴は体から発生する汗などの水分を吸い取り適度に外部に放出するという機能を有しています。まさに呼吸すると喩えられるものですが、フッ素はこの機能を損なうことなく高い防水性を実現していました。
PFOAは自然界で残留し、人体にも蓄積されやすいことから、長期に摂取した場合の健康への影響が指摘されました。
しかしそのフッ素のなかでもPFOA(パーフルオロオクタン酸)と言われる物質について長期間に摂取した場合の健康への影響が指摘されるようになり、規制が進んでいます。もちろん全てのフッ素が有害というわけではありません。(各企業で行われているフッ素使用の全てが悪いという訳ではありませんので、その点はご安心ください。)
私たちは幅広い防水革の技術開発という視点も含めて進めてきました。そして現在、フッ素以外の原料を使用した「フッ素フリー 防水革」を提供しています。
現在、革の製造には一部ラッカーを用いた製造を行っています。それは、皆さんがお使い頂く革の表面により強い耐性をつけるという事が目的です。しかし、それは揮発性有機化合物(VOC(volatile organic compounds))の使用にあたるため、環境省の基準値内であることを遵守しています。
現在、当社ではVOCを用いない水性塗装のみの移行への実施試験も行っています。一部の革では、これまでラッカーで行っていたコーティングを水性塗料のコーティングに移行しています。
いかがでしたでしょうか。
次回は、社長に聞く「タンナーの環境への取り組み②」をお届けする予定です。
また戸田社長はインスタグラム(https://www.instagram.com/sanyo_toda/)でも、定期的にご自身の発信を行っています。
ぜひこちらもご覧ください。
では、また次回に。
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