山陽Letter
【山陽レザー】#007 グローブ 〜銀浮きを少なく!
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山陽の読み物(note)をご覧頂きましてありがとうございます。
シリーズ『山陽レザー』では、山陽の革を毎回1つ取り上げて、その特徴をご紹介しています。
今回は野球グローブにまつわる革の2回目です。
そのものズバリ、「グローブ」です。(弊社の革の名前を「グローブ」にしました)
グローブ用の革、いわゆるグローブレザーは、ボールを捕るという機能を果たす事に特化した作り方がなされています。
主な特徴は、「表面の塗装は行わない(素上げ)」「革の内部まで染料を入れない(半芯通し)」という言う点です。これにより、グローブレザーに必要不可欠な強さや捕球する時の滑りにくさといった機能につながっています。
(グローブレザーの仕様や特徴については、以前にもこの読み物(note)で取り上げましたので、詳しくはこちらをご覧ください。)
さて、少しお話は変わりますが、私たち山陽が最も得意とする革は、実は靴に使う甲革なのです。(甲革とは、革の外側、つま先から踵までのメインとなる部位です)
甲革は、強さ以外にも様々な性能が求められます。
革を引っ張った時に革の荒れ(アラビと呼ばれます)が出ないこと、そして革を曲げた時に革の表面にシワが出にくいこと、などです。
このシワが出る現象の事を「銀浮き」と私たちは呼んでおり、革の銀面(表面)の層が下側の層の曲がりついて行かずにシワとして現れてしまいます。
靴では、特に足の指が曲がる部分でシワとして発生しやすいです。
そこで私たちは革を作る際に「アラビ」や「銀浮き」が発生しにくいという点に特に気にかけています。
突然にグローブから靴の話になって戸惑われたかもしれませんが、私たちは長年培ってきたこの靴の革づくりの技術を、グローブ革にも応用しました。
それにより曲げた際にシワが寄りにくい、つまり銀浮きが少ないグローブ革を作ることができるようになっています。
私たちの「グローブ」と銀浮きが起こる革とを比べるとこのような違いがあります。また革はお腹にあたる部分は繊維が粗くなるため銀浮きが発生しやすくなります。しかし私たちの「グローブ」では、お腹部分の革でも最小限に抑える努力をしています。
これによりグローブの品質向上につながるとともに、万遍なくグローブの素材として使う事ができて、無駄な部分が減らし廃棄される革が出にくくなっているのではないかと私たちは考えています。
また強度についても十分な機能を備えていますので、安心して使っていただけるかと思います。
10センチ長の革小片の両端を測定器具に固定し引っ張り、切れるまでの力の強さを測定します。
21.5 N/㎝2
※Nはニュートンの略。1ニュートンは、1 kgの質量を持つ物体に1 m/sの加速度を生じさせる力。
[通常の革は、約18 N/mm2]
10センチ程度の中央に裂け目を入れた革の両端を測定器具に固定し、裂けるまでの強さを測定します。
80.9 N/mm2
[通常の革は、約30 N/mm2]
いずれも通常の革に比べて高い測定結果となりました。
プレーヤーのみなさんが気持ちよく使えて、製作時の廃棄部分を減らすことができる、そんな山陽のグローブ革を皆様にもお使いいただけましたら幸いです。
それでは、本日はここまで。
また次回に。
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