山陽Letter
【山陽レザー】#006 アーマー(グローブひも用革) ~「切れない革」を目指して
革の世界
今回は、革の等級をテーマにお話ししたいと思います。
私たちが製造している革、すなわち天然皮革は元が牛などの生き物の「皮」であるために形やコンディションは、個体差があります。
つまり革になった時の形状や美しさには、「個体差」があります。
このことは皮革の製造・販売を行っていく中で最も難しいことの一つです。
皮革製造の大まかな流れとしては、原皮を脱毛などの準備処理をした後に「鞣し」を行います。
この鞣しを行った時点の革を「ウェットブルー」(もしくは「青革」)と私たちの業界では読んでいます。
※上部の写真の革がウェットブルーです。
毛が取り除かれ革の表面(銀面)が露わになるウェットブルーの状態になって初めて私たちは革の良し悪しを見ることが出来ます。
そこでウェットブルーの状態を判別して当社では「上上・上・中・中下・下」の5段階に分類します。ちなみにこの判定を、当社では「青検査」と呼んでいます。(ウェットブルー<青革>を検査する段階であるため)
青検査では、革の傷、ピンホール、ハエ嚙み跡、表面の痛み、血筋などをチェックします。
原皮として入荷されたロットによって差はありますが、以下のような比率になります。
鞣し処理を行ったロットの一例(2022年6月)
等級 | 割合(%) |
---|---|
上上 | 約6% |
上 | 約21% |
中 | 約21% |
中下 | 約41% |
下 | 約11% |
このように個体差が発生すること、実際に鞣してみないと革の状況はわからないことは、合成皮革や人工皮革との大きな違いであり、天然皮革を扱う上で難しい部分です。
また青検査での等級に応じて、仕上げの方法が決められていきます。
大まかには上級~中級のものは銀面を生かした「銀付き革」として使用し、中級から下級のものは「銀擦り革」として使用します。
銀付き革は、以前に読み物「銀付き革 ~基本にして、貴重~」にてご紹介させていただきましたが、革自体のキメ、毛穴、シワなどをしっかり感じることができる、革らしい革です。
銀擦り革は、革の表面(銀面)をサンドペーパーで擦り(バフィング)、人工的に平滑性を高めて顔料で仕上げている革で、代表的なものが「ガラスレザー」です。ガラスレザーについても以前に読み物「ガラスレザー ~美しい革を多くの人に~」にてご紹介させていただきました。
このように革の状態によって仕上方法に制約が出るという状況が皮革業界にはあります。
革は動物から頂いた大切な素材ですので、すべての命を大切に活かしていく。それが持続可能な世界に通じていくと私たちは考えています。
次回以降には、「すべての命を活かすため」に各個人で出来る事や皮革業界の取り組みなどもご紹介できればと思います。
本日は、ここまで。
また次回に。
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