山陽Letter
【山陽レザー】#006 アーマー(グローブひも用革) ~「切れない革」を目指して
革製品について
以前に革製品のお手入れについて、基本的な方法をご紹介しました。(まだお読みになられていない方は、よろしければこちらをご覧ください。)
今回は、お手入れに使うケア製品の中で、代表的な3つの「クリーム」についてご紹介します。
それぞれの性質や使用する場面の違いを少しでもご理解いただければと思います。
原料として「ワックス」「オイル」そして「水」を使用しているクリームです。
油分と水分が均一に混ざり合ったクリームです。(油分と水分が均一に混ざり合う状態のことを「乳化」と言います。)この後にご紹介する油性クリームと違い、「水」を使っていることが大きな特徴です。
「油分(オイル)」と「水分」の両方同時に与えることができる製品で光沢のある革靴に向いています。乳化性クリームに含まれている油分により保革効果(乾燥や汚れを防ぐ)があり、水が含まれていることで革に潤いを与える効果もあります。また「ワックス(ロウ)」も含まれているため艶を出す効果が高いです。
油分と水分の比率や乳化剤の調整具合でビン入り、チューブ、ローション、スプレーなど様々な形のものが出ていて、使いやすいタイプを選ぶことができます。
価格的にもリーズナブルな物も出ているため、革靴ケアの入門用とも言えると思います。
原料は「オイル」「ワックス」が主体になっているケア製品です。通常は「缶入り」で販売されているものが多く、いわゆる「靴墨」とも呼ばれている部類のものです。
水分が入っていないため、浸透させるという効果は期待できない反面、革に光沢を与えて、防水性を高めるという効果があります。
光沢のある革靴を、さらに「ピカッ」と輝かせるもので、中級者向けと言えるかもしれません。
また油性クリームを繰り返し使っていると革が硬くなってくることがあるので、時には保湿効果が高い乳化性クリームで革に栄養を浸透させるという事が必要です。
革に潤いを補給することに特化したクリームで、「艶出し効果」はあまり期待できません。
原料は「水」「オイル」「ワックス」ですが、特に「水」の比率が高く、製品によっては8割程度になるものもあると聞きます。
水分が多いことで浸透しやすく、油分が多くないことでシミにもなりにくいという特徴があります。
そのためヌメ革やシープスキンのようなデリケートな革にも使いやすく、万能とまでは言えませんが、多くの革製品に使用できるケア製品です。
1つ持っておくと重宝するかもしれません。
以上、3つのケア製品をご紹介しました。
それぞれに使う用途が違う事がご理解いただけましたら幸いです。
ケア製品をうまく使うことで、一歩進んだ革製品ユーザーにステップアップできると思います。
また最後に大切なことを一つ。
革用のクリームやオイルを初めて使う際は、必ず目立たない場所で「テスト」してから全体で使うようにしてください。
革の仕上げ方法やケア製品の成分は様々です。一般的には大丈夫と言われている取り合わせであって特定の革とケア製品の相性により「事故」が起こってしまう可能性はあります。
それでは、本日はここまで。
また次回に。
<参考資料:レザーソムリエ公式テキスト(日本革類卸売事業協同組合 発行)>
※レザーソムリエについてはこちらをご参照ください。
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