山陽Letter
【山陽レザー】#006 アーマー(グローブひも用革) ~「切れない革」を目指して
革の世界
革のなめし(鞣し)方法は、古来より行われている伝統的な「タンニンなめし」と近代に発明された化学的な「クロムなめし」の2つの方法があるというお話をしました。
(タンニンなめし、クロムなめしについては、これまでの記事でご紹介しています。まだ読まれていない方は、よろしければこちらをご覧ください。「タンニンなめしとは(1)・(2)」「クロムなめしとは(1)・(2)」)
それぞれのなめし方法には、利点もあるのですが弱点もあります。
今回は2つのなめし方法の利点を掛け合わせたハイブリッドななめし技術「コンビネーションなめし(コンビなめし)」についてご紹介します。
コンビネーションなめしは、以下の流れで行われています。
最初はクロム鞣剤で、なめしを行います。
ここでは、いわゆるウェットブルーと呼ばれるクラスト革(素材革)になります。
1の革を、染色・加脂を行う工程(再鞣し工程)において「タンニン」を加えます。
※染色等を行う染色太鼓に「タンニン」を加えます。
〔ミモザ(粉末)〕
〔ケブラチョ(粉末)〕
〔合成タンニン(粉末)〕
この際には、仕上げる革によって様々なタンニン剤を使い分けます。
天然タンニンであれば「ミモザ」「チェストナット」「ケブラチョ」などが使われる他、化学的に作られた「合成タンニン」が使用されます。(現在は、合成タンニンを使われることが多くなっています。)
タンニンで再度なめすことで、柔らかなクロムなめしの革に、タンニンなめし革のような剛性が付加されて、「コシのある」触感になります。
このようにクロムなめしによる「強く」「短期間」で出来るという特徴に、タンニンなめしのナチュラルな「風合い」「剛性」が合わさった革を作ることが可能になっています。
「革を作る」という有史以来人間が行ってきた技術も日々進化し、新しいものが生み出されています。
このような技術を駆使し、様々な天然皮革を幅広く皆様にお届けし、お使い頂ければと思います。
本日は、ここまで。
また次回に。
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